家づくり先輩ルポ
今回の舞台は、愛媛県東温市。重信川(しげのぶがわ)を背に坂道を上ると、景色は一変します。山々に挟まれたなだらかな傾斜地に棚田や畑が広がり、日本の原風景を思わせる穏やかな町並みが続きます。やがて道の先に、大きな2つの窓がひと際目を引くA様邸が見えてきました。
「30歳になる前に家を建てたかったんです」

この家に住むA様ご一家は、ご夫婦と幼いお子さんの3人で暮らしています。
愛らしいお子さんが生まれたのは、この家に住み始めてからのこと。打ち合わせをしていた頃は、その予兆すらありませんでしたが、いずれ家族が増えることを想定し、プランに織り込んでいました。子ども部屋に並ぶたくさんのおもちゃから、周囲の愛情をたっぷり受け、すくすく成長している様子が感じとれます。
この土地は、奥さまのご実家と隣接していて、もとは祖父母の持つ田畑でした。高台にあって見晴らしがよく、のどかな風景がお気に入りで、小さい頃から「ここに家を建てたい」と、“おねだり”していたのだとか。大人になってもその思いは変わらず、畑の一部を住宅用地として譲り受けました。
窓の向こう側に、今も元気に畑仕事をしている祖母の姿が見えます。

将来を見据え、結婚後すぐに家づくりを検討し始めたご夫婦。近くにある住宅展示場に行ってみたものの、豪華すぎるモデルハウスを前に、自分たちらしい暮らしがイメージしづらかったそう。「素敵だけど非現実的というか、ピンと来なかったんです」と、当時を振り返ります。
そんな折に出会ったのが、コラボハウスのCMでした。
実際に建てられた“等身大の家”たちを見て興味がわき、ホームページのスタッフ紹介で、ある女性設計士を見た瞬間、「絶対この人にお願いしよう!」と、ピンと来たのだとか。束本スタジオの無料相談会も「Aさんでお願いします」と、ひと言添えて予約しました。
緩急つけた視覚効果で
開放感とおこもり感を両立
「コレクションを飾るためのニッチ」「たっぷりの収納と家事がラクになる動線」「自然豊かな景色を眺められる大きな窓」などの譲れない要望は伝えつつも、プラン設計の9割は、建築のプロである設計士たちを信頼して、お任せだったといいます。

玄関を開けると、壁一面に飾られた圧巻のコレクションと、大きな窓から見える鮮やかなグリーンに目を奪われます。ニッチの上段にはご主人のミニカー、下段には奥さまのディズニー100周年のフィギュア。おふたりとも収集癖があり、この「コレクションを飾れるニッチ」は、家づくりの必須条件のひとつでした。
よく見ると、反対側の壁にも小さなニッチが。住み始めてから増えたフィギュアのために「実は、DIYで棚板を追加したんです」と笑います。


LDKは、平屋とは思えないほどの高い天井と、両サイドの大きな窓による視覚効果で、実面積以上の広がりを感じさせます。白を基調とした壁面が、光を反射する“レフ板効果”をもたらし、この開放感をさらに際立たせています。

和室からLDKを見た様子。
隣接する小上がりの和室は、天井からの壁をあえて低めにして、心地よいおこもり感を演出。茶室のような風情も感じさせます。
目隠しのシェードとアクセントウォールにあしらわれたのは、奥さまの好きなオレンジ色。プロポーズのときに贈られたというバラの花束が、“お気に入り色”の床の間に温かな彩りを添えていました。
チーム設計が叶えた
お気に入り空間

コラボハウスの大きな特徴のひとつが、1組のオーナー様に対して、3人の設計士がチームを組む「チーム設計」。異なる価値観を持つ複数の視点から検討を重ねることで、より洗練された家が生まれるからです。
A様邸でも、ご指名の女性設計士を中心に、3人のプロが知恵を出し合いました。
A様「室内はほとんどAさんにデザインしてもらいましたが、和室を壁で仕切るアイデアは、Tさんのアドバイスを取り入れたんです。」

当初のプランでは壁がなく、LDKと和室はオープンにつながっていたそう。あえて壁を設けたことで、ほどよい“おこもり感”が生まれ、さらにお気に入りの空間になりました。
ガルバリウム鋼板と塗り壁を組み合わせたスタイリッシュな外観も、この男性設計士からの提案をもとに決めたといいます。
長く住むからこそ
後悔のない家づくりを

A様「シンプルが好きと言いつつ、かわいいのも好き。でも、この先ずっと過ごすなかで、『毎日見てたら飽きんかな?』『将来、好みが変わったときにどうしよう』という不安もありました。」
最初は、「長く住むからこそ、内装には飽きのこない色を」と、壁紙を家じゅう白一色にしていました。
しかし、家づくりの参考に保存していたお気に入りの写真は、カラフルな差し色をきかせたものばかり。それを見た設計士から「本当に白一色で大丈夫?」と聞かれ、飽きのこない色と自分の好みとのギャップに、はっとさせられたそう。本当に後悔しない家づくりを考え直すきっかけになりました。
のちに提案されたのは、白を基調にしながらも、好きな色を随所にほどよく取り入れた、いいところ取りのプラン。設計士からのアドバイスを受けて、キッチンの壁面は落ち着きのある淡いグレーに。家族用のトイレは、思い切ってポップな壁紙と照明をあしらい、遊び心をプラスしました。
「家のなかで、どこが一番お気に入りですか?」と聞くと、「どこも好きすぎて、1つには決められないよね」と、困ったように笑うおふたり。その晴れやかな表情から、3人の設計士による「チーム設計」が、隅々まで愛着の持てる“すべてがお気に入りの家”を叶えたのだと、ひしひしと伝わりました。
