腕きき職人ルポ
美しい壁紙は裏側が肝心
信頼関係がつなぐ、すぐれた技術
内装業(壁紙)/株藪 知広・植村 誠

香川県高松市。やってきたのは、国道11号から南に位置する子育て世帯に人気のエリア。市内中心部へのアクセスがよく、整然と張り巡らされた道路の周りには、スーパーや量販店、飲食店などが並びます。
穏やかで見晴らしのよい住宅街のなかにある現場で、壁紙と水回りの床に敷く塩ビタイルの施工を手掛けているのが、今回お話をおうかがいする株藪さんと植村さんです。
手分けして家じゅうの壁紙を貼り付け
取材日は、室内の各所に壁紙を貼っている最中。
ピンク色の下地ボードの上から、少し厚みのある白い壁紙をピッタリと隙間なく貼り付けています。ここの作業予定は残り3日。ラストスパートに差し掛かったところでした。
開始時に、作業内容やスケジュールのすり合わせ、使用する素材の確認を行いますが、以降は基本的に、2人で分担して作業にあたるといいます。

壁紙をキレイに貼るため
下準備が何より大事
壁紙を貼る前に必ず行う、下地ボードの継ぎ目やネジ山をパテで埋める作業。この作業が一番気を遣うといいます。
下地に凹凸があると、壁紙がキレイに密着せず、表面にそのまま浮き出てしまいます。薄手の壁紙や光が当たる場所では、さらに目立ちやすいのだとか。このパテ処理の完成度が、最終的な壁紙の仕上がりと持ちに直結します。
パテを塗り、乾燥させ、研磨して平らにするのを何度も何度も繰り返して、均一になるよう調整を重ねます。塗り跡を手で触ってみると、驚くほど滑らか。

植村さんから、パテを塗るための道具を見せてもらいました。研究を重ねるなかで、この専用器具を見つけたそう。押すと溝からパテが出てくるシンプルな構造です。「最初は難しいんですけど、何回かやっていくと“感じ”が分かってくるんですよ」と、さらりと言いますが、塗り方や力加減は、やはり技術と経験が試されます。
「依頼されたからには、変な人は呼べませんから」
この現場においては、株藪さんは一次請け、植村さんは二次請けの関係性。
現場監督からの依頼を受けて、必要な材料の調達とともに、資材を扱う会社を通して職人を手配するのが、株藪さんの仕事です。
高松市近郊での施工の際は、植村さんに依頼することが多いのだとか。

壁紙や塩ビタイルの施工を手ずから行い、職人としての視点も併せ持つ株藪さん。手配の際には、きちんとした施工ができる職人を選んで、見極めて、現場に来てもらうフィルターの役割を果たしています。
「もし、この時期の現場を見ることがあれば、パテの手触りと塗り跡の見た目を見てほしい」と語る株藪さん。フリーハンドとは思えないほど真っ直ぐで均一な塗り跡を見ながら、なかなかできるものではないと、植村さんの職人技を絶賛していました。
内装業(壁紙)
株藪 知広・植村 誠 TOMOHIRO KABUYABU・MAKOTO UEMURA
株藪さんは香川県仲多度郡琴平町出身。内装工事に使う材料の卸業をしていた親の背中を見て育つ。丸亀市のインテリアショップで経験を積み、独立して2年。中讃(香川県中部)を中心に内装工事を請け負う。
植村さんは香川県高松市出身。地元工務店に就職した姉の勧めで、下請けの内装業者に就職。以来、高松市近郊で壁紙の施工を手掛ける。
ふたりとも、この道20年以上のベテラン。