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コラボハウス愛媛一級建築士事務所

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INFORMATION

2021/05/14

コラボハウス一級建築士事務所 施工事例

移りゆく季節のそばで暮らす平屋


愛媛県

木造軸組工法

延床面積:36.38坪

2018年竣工


 

住宅を設計する際、住人の暮らしがあるにも関わらず、機能や性能に多少目をつぶって新しい技術や斬新な形を優先して家づくりを進めてしまう設計者もいる。反対に、依頼人の要望をほぼ全面的に受け入れてしまう設計者もいる。工務店やハウスメーカーとは違ったものを設計事務所に期待している依頼者のことを考えると、どちらも良い対応とはいえないだろう。周辺環境への配慮や、新たな技術的挑戦、美しい形を追求しつつ、底に住む人の暮らしに必要な性能を確保した上で、言葉では表しきれない心地よさを感じさせる住宅。それこそが設計士に求められる家づくりだと思う。

 

今回紹介する「移りゆく季節のそばで暮らす平屋」は、2018年に設計士が建てた自宅である。ゆったりした敷地を十分に活かした平屋に、低く抑えた寄棟の屋根。ウチとソトを緩やかに繋げる大きな土間リビングとたっぷりと取った軒下空間は、農家の家に育った設計士が選んだ”自然と暮らす生活”を明快に表現している。大きく開ける特注の木製サッシからは家の前にある田畑がいつでも眺められ、リビングの延長になるウッドデッキではBBQも楽しむことができる。

 

 

室内に目を向けると、大きな土間に鎮座する薪ストーブが、火を眺め火に触れる生活を実現している。火は人を集める。かつて囲炉裏が人の集う場を作っていたように、この家では薪ストーブがその役を果たすだろう。薪を割り、火に焚べる。暮らしの一部に組み込まれた『火を扱う』ことは、親から子へのメッセージとして、伝えられていくのかもしれない。

 

親から子へのメッセージとして、より濃密なものの一つが子供部屋だろう。家族という生活単位のなかの親の役割、子の立ち位置。設計に熟達したものの作る間取りには、その考えが色濃く反映される。設計士が読み解く家族というものは、4畳半や6畳といった広さだけではない。家族の集うリビングとの繋がり方や距離感、柔らかに伝わる生活の音、時には、緊張感をもたらす母親の足音。生活の雰囲気を作り出すのが間取りである。この家では、個人が自我をしっかりと保ちながら、自立した個人として家族と関わることを望む設計者の思いが反映されている。

 

作業台を介してリビングとつながる家事室にもまた、設計者の考える家族のあり方が現れる。リビング側から宿題スペースとして使う子供に、家事室側から視線やアドバイスを送るシーンがそこに想定されている。リビングから家事の様子が見える配置は、家事は裏で籠もることではなく、家族に開放されたものという具体的な家族像が示されたものであろう。

 

 

機能性に特化しがちなキッチンも、カウンターを介して緩やかにリビングと繋がる距離感と効果的に配置された窓が、キッチンにありがちな閉塞感を解消している。タイル張りの床の採用はデザインへの関心による部分もあるが、濡れやすいキッチンの美観を維持しながら容易に掃除できる機能性も担っている。突き当りの水回りへ至る動線や家事室への繋がりは、家事に必要な移動距離や作業時間を効果的に短縮する。間取りは、生活の「時間」を操作する役割をも持ち合わせる。

 

 

生活に視線を送り暮らしの楽しさをしっかりと作り込みながらも、この家は住宅としての性能も十分に工夫されている。障子は大きな窓からの光を柔らかに届けると同時に、窓と障子の間の空気層は冬の寒さを和らげてくれる。リビングの土間は断熱材を埋め込むことで、熱をしっかりと溜め込む装置として機能する。室温を安定させる装置としてその蓄熱性能を発揮するのである。トリプルガラスを採用した窓は、夏の暑さ、冬の寒さを防ぎ、空調の効率を高めることで光熱費を抑え込む。より安価に、健康で快適な室内環境を得ることができる。

 

家は快適に過ごす場所であることを基本に据え、暮らす人がどう感じ、本質的に何を求めているのか過不足なく理解し実現することが設計者の重要な使命であろう。設計者と住む人が同一のこの家で設計者に求められたのは、設計者自身がどのような暮らしを求めカタチにするか、住む人として見つめ直すことだった。原風景を取り込み、暮らすことを楽しみながら、生命を守るシェルターとしての機能も兼ね備えた家は、住まい手の暮らしをより豊かにしている。陽が出ている間に活動し、陽が沈むとゆっくり過ごす…そんな豊かな時の流れを感じる家となった。

(2021年5月 記)

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