腕きき職人ルポ
壁の奥に宿る細やかな気配り
夫婦ふたりで手掛ける電気工事
電気工事/髙木 淳也・真佑

やってきたのは、愛媛県松山市内のとある施工現場。家の骨組みができ上がって間もない頃で、駐車場には、さまざまな材料を積んだ作業車が何台も並び、外も中も絶え間なく人が出入りして施工を行っています。とても忙しいなか時間をぬって、さわやかな笑顔で話してくれたのが、今回ご紹介する髙木夫妻です。
電気を使う設備の取り付けと
関連する工事を担当

この日は、現場入り初日。壁の中に「ボックス」と呼ばれる、電線とコンセント本体を収める黒い箱を設置する作業と、家じゅうに配線を通す作業を、3日間で行う予定です。

電気を使う設備の取り付けと、関連するありとあらゆる工事が担当領域。
たくさんの細かな工事があり、ほかの業者のスケジュールや進捗を現場監督と確認しながら、断続的に現場に入って、タイミングに応じた施工を行うといいます。
たとえば、断熱材を入れる業者の作業が終わったあとは、壁面に換気扇を取り付ける穴を開ける作業。内装工事業者が壁紙を張り終えたあとは、照明器具の取り付け作業。そのため、複数の現場を同時に請け負っていることがほとんどで、数日おきに行き先が変わるのだとか。
あらかじめ、工程表をもとにスケジュールと段取りを組みますが、ときには急ぎの依頼が舞い込むことも。そんなときは優先順位をつけ、パズルのように作業日程を入れ替えながら、臨機応変に対応しているそうです。
この道20年の丁寧さ、
淀みなく流れるような作業

骨組みができた直後から引き渡しの直前まで、長い家づくりの間にスポットで入るからこそ、大工をはじめとした、ほかの人がする作業まで考えた、丁寧な施工を心掛けているといいます。
この2色の電線は、カバーの色が異なるだけで、規格はまったく同じ。誰が見ても分かりやすいように、照明につながる電線は黄色、それ以外は灰色と使い分けています。
ほかにも、断熱材を入れるときに作業がしやすいように、ボックスの中に電線の端をくるくると丸めておいたり、柱や梁にピッタリと添わせながら電線を掛けたりと、随所に細やかな配慮が行き届いています。
淳也さんは、この道20年のベテラン。施工の様子を見ていると、動作に一切のムダがなく、思わず見惚れてしまうほど。水が流れるように淀みなく、瞬く間に次々と作業が進みます。
ふたりでやるようになって
仕事がより楽しく

結婚を機に、淳也さんにならって電気工事の現場へ入るようになった真佑さん。今は資格の勉強をしながら、仕事を教わったり、作業のサポートをしたり、二人三脚で施工を手掛けています。次に使う物を取りに車へ戻る、といったタイムロスが大幅に減り、作業効率が上がって助かっているといいます。
真佑さんに、今までで一番大変だった現場を聞くと、真夏に汗だくになりながら、地中に電線を通すための穴をスコップでコツコツ掘ったのだとか。「あとで差し入れでもらったアイスクリームが美味しくて!」と茶目っ気たっぷりに話してくれました。
ペアで仕事をするようになって、1年ほど。おふたりとも、キラキラとした笑顔と言葉の端々から、今の仕事を心から楽しんでいると、ひしひしと伝わってきます。「まったくの未経験から、1年でこんなにできるようになったんです」と、誇らしげに話す淳也さん。ぐんぐんと成長する真佑さんを見守る楽しみも増えたようです。
電気工事
髙木 淳也・真佑 JYUNYA/MAYU TAKAGI
淳也さんは愛媛県西条市、真佑さんは愛媛県喜多郡内子町の出身。ペアで仕事を行うようになって1年ほど。愛媛県中予エリアを中心に、二人三脚で電気工事を手掛けている。前回紹介した大工の森山さんとも旧知の仲で、これから施工が始まる森山邸の電気工事を“ご指名”で任されているのだとか。