腕きき職人ルポ
自由自在な「足場」が
最高の建築につながる
足場鳶/岡村 五郎

祖父の代から60年以上続く岡村組。工場をメインに、機械据付工事や足場組立を行っていたが、事業を展開すべく岡村さんの代から住宅業界に参入。2棟分の資材しかない中でのスタートが6年前だった。
建築現場や高所作業現場など職人が働きやすいよう「足場」を組んでいくが、足場によって作業のしやすさが変わってくるため、職人との密なコミュニケーションが欠かせない。
「こうして欲しいという要望を聞いたり、動きの癖や体格をみたりします」。
この細やかなやりとりが作業効率や建物の出来栄えにつながっている。どれも同じ足場に見えても、組み方は千差万別、経験や知識で実力が明白になるというからシンプルなようで実は、奥が深い。
組み立てる場所は、壁や屋根など建物の周囲や建物内の場合も。図面を見ながら適した材料を見極め、搬入、組立作業を進めていく。半日から1日あっという間に仕上げていく様は、影の立役者として見事な仕事ぶりだ。
「1人では絶対に出来ません。これからも同じ志を持つ仲間とともに、現場を支えていきたいです。」
職人歴33年目。任せられる人材も増え、周りに目を配りながらも、柔軟に仕事を楽しんでいる姿が印象的だ。
足場鳶
岡村 五郎 Okamura Gorou
1973年生まれ、愛媛県西条市出身。(有)岡村組代表取締役。父が働く姿に憧れ、同じ道を志す。工場から住宅まで任される物件は幅多く、4人の従業員と同じ業界で働く息子の会社と協力し合いながら現場に入ることも多い。趣味は、釣りや旅行。最近は、各地の神社巡りが好きで、昨年は出雲大社を訪れたそう。