腕きき職人ルポ
日本の伝統・屋根の建築文化を守り
安心して住める住まいを手掛ける
板金業/田代 貴規

周囲に建築板金を行っている職人が多かったことから興味を持ち始めた田代さん。秋田県の板金業界では名の知れた師匠とのご縁もあって、見習いからスタート。屋根職人として必要な基礎知識から、現場の仕事など徹底的に教えてもらった。秋田では、12月から3月にかけ積雪量が多く、30~40cm積もることが日常。そのため雪解け水が漏れないよう下地材の張り方や仕様の工夫、凍結と融解の繰り返しから屋根が劣化する凍害への対策など寒冷地ならではの技術が必要になる。
見た目だけの美しさだけではなく、創造性や感性、複雑な形状をした屋根には職人技が久かせない。
「この仕事は、結果が出るのが遅いですよね。雨帰りもせず安心して過ごせているなと改めて実感するのが数十年先くらい。それほど大きな仕事を任されているのだと思うと、気概と自に繋がっています。これからも”スピーディ・丁寧・美しい”をモットーに、一邸一邸心を込めて、新しい素材・デザインにも対応できる技を磨いていきたいです」。
板金業
田代 貴規 Tashiro Takanori
1989年秋田県秋田市生まれ。田代板金代表。秋田県立金足農業高等学校環境土木科卒業後、中央御売市場へ就職。「現場の仕事がした」と転職、鉄工所で煙突や配管の溶接業を経て建築板金の道へ。休日になるとキャンプ、サップ、スノーボードと1年を通してアウトドアを満喫している。