コラム
中庭のある家のつくり方
メリット・デメリットや間取りのポイントを解説
家づくり
2025.02.04

中庭のある注文住宅に興味があるものの、「具体的にどんな家なのかイメージが湧かない」という方も多いのではないでしょうか。中庭と一言でいってもさまざまな間取りタイプがあり、メリット・デメリットもそれぞれあります。
本記事では中庭のある家の間取りタイプやメリット・デメリット、家を建てる際のポイントなどについて解説します。併せて中庭のある家の施工事例も紹介するので、家づくりを検討している方はぜひ参考にしてください。
中庭のある家の間取りタイプとは
中庭とは、建物の壁に囲まれた屋根のない空間を指します。中庭があると、室内にいながらにして屋外の開放感を味わえるうえ、プライベート空間も確保できるのが特徴です。
中庭と混同されやすいものに「テラス」がありますが、テラスはバルコニーの一種です。屋根がない場合もある場合もテラスですが、主に1階につくられ、周囲の床面よりも一段高く建物外部のスペースに設置されています。テラスはリビングなどの居住スペースの延長として利用することも可能です。
中庭のある家の間取りタイプは、主に以下の3つです。
- コの字型
- ロの字型
- L字型
以下でそれぞれ詳しく解説します。
コの字型
コの字型は、中庭の三方が建物の壁に囲まれたタイプです。一方が開けているので開放感があり、近隣からの視線も適度に遮ることができます。風通しや日当たりも良く、植物を育てたい方やガーデニングが趣味の方に適しているでしょう。また、中庭と敷地外との行き来がしやすいのもポイントです。コの字型の間取りは形状が複雑なため、建築費用が高くなる傾向にあります。
ロの字型
ロの字型は、中庭の四方を建物で囲んだ間取りです。建物の中心部に中庭があるため、しっかりとプライベートを確保できるのが特徴です。中庭から差し込む光で室内が明るくなり、開放感のある暮らしを実現できます。中庭にデッキを設置し、バーベキューをするといった使い方も楽しめるでしょう。
ただし、ロの字型は広い敷地面積が必要なうえ、四方を囲まれているため雨水が溜まりやすく、排水に注意が必要です。
L字型
L字型は、文字どおり建物がL字型で、庭の二方向が壁に接している間取りです。壁面が少ないことから、3つの間取りの中では最も開放感があります。狭い敷地でも庭を広く取ることができるのがメリットです。また、建物の形状がシンプルなので、建築コストを抑えることもできます。
一方、L字型は外からの視線が気になりやすいため、視線に配慮した設計が必要になるでしょう。
中庭のある家のメリット
中庭のある家に住むと、以下のようなメリットを享受できます。
- 採光・通風に優れる
- プライバシーを確保しやすい
- 防犯性が高くなる
- 多用途に活用できる
それぞれについて詳しく解説していきます。
採光・通風に優れる
中庭をつくることで、室内に満遍なく自然光や風を取り入れることが可能です。家の形状や方角によっては光が入らない部屋もありますが、中庭があれば家の中心部にも開口部から光が入りやすく、室内が明るくなります。また、「中庭をつくる=窓を設置する」ことになるため、風通しも良くなるのがメリットです。
プライバシーを確保しやすい
中庭は建物で囲われているため、外部からの視線を感じにくくなります。室内からは目が届き、外からは見えにくいので、子どもやペットを安心して遊ばせられる場所にもなるでしょう。
また、休日にラフな格好でくつろぎたい、人目につかない場所に洗濯物を干したい場合にも適しています。中庭を設けることで、適度にプライバシーを確保できるでしょう。
防犯性が高くなる
中庭をつくると、防犯性が高まるメリットもあります。中庭部分から室内の採光・通風を確保することで、道路側や隣家側の窓のサイズを小さくしたり、窓の数を減らしたりすることもできるでしょう。中庭は外部からの視界を妨げるだけでなく、侵入のリスクも防ぎやすくなります。
ただし、万が一侵入されると外からは見えにくいため、中庭を囲う壁の一部にスリットを入れるなどの配慮をしておくとより安心です。
多用途に活用できる
中庭はガーデニングやバーベキュー、プール、子どもの遊び場、リラックススペースなど、多用途に使うことができます。アウトドア好きな方は、テントを張ってキャンプ気分を味わうこともできるでしょう。
ほかにも家庭菜園をしたり、植物を育てたり、音楽を聴きながらチェアでゆっくり過ごしたりなど、他人の目を気にすることなく充実した時間を過ごせる空間となります。
中庭のある家のデメリット
中庭のある家のデメリットもしっかり把握したうえで検討すれば、後悔しない家づくりが可能です。以下では、中庭のある家のデメリットについて解説します。
建築コストが高くなる
中庭のある家は、シンプルな形状の家に比べて建築コストが高くなる傾向にあります。中庭のスペースを確保できる十分な土地の広さが必要になるうえ、庭に面する建物の外壁や窓の面積・数が増えるためです。また、建物の形状が複雑になることから、強度を確保する必要もあり、コスト高は避けにくい問題です。
予算が限られている場合、中庭を設けることで建物の延床面積は小さくなってしまいます。しかし、中庭自体を室内空間の一部として活用することで、少々狭い床面積でも満足度は高くなるでしょう。
メンテナンスの手間がかかる
中庭をきれいな状態に保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。家の形状が複雑で外壁面や窓などが多くなると、その分メンテナンス費用がかさんでしまいます。
また、庭に排水設備を設置している場合は、枯れ葉などが詰まらないよう定期的に掃除することも必要です。中庭に設置されることも多いウッドデッキですが、一般的に耐久年数は10~20年ほどとされています。雨風や紫外線にさらされることで劣化が進むため、長く使い続けるためにもこまめなメンテナンスが必要です。
動線が長くなる
中庭を建物の中心部に設けると室内の動線が長くなり、部屋ごとの移動に時間がかかる可能性があります。生活動線や家事動線が悪いと、日々の暮らしの中でストレスを感じてしまうでしょう。
家を設計する際には、キッチンやランドリールーム、洗濯物干し場などの位置に配慮し、生活動線に無理のない間取りを検討することが大切です。
断熱性が下がる
中庭のある家は開口部が多くなるため、外気温の影響を受けやすく、断熱性が下がる傾向にあります。一般的な形状の家に比べて夏はより暑く、冬はより寒く感じ、冷暖房効率も悪いため光熱費が高くなりやすい点に注意が必要です。
そのため、中庭のある家では気密性や断熱性を高める対策が欠かせません。初期費用こそかかってしまいますが、快適な住み心地を確保するためにも、高気密・高断熱住宅なども検討すると良いでしょう。
中庭のある家を建てる際のポイント
中庭のある家のメリット・デメリットを踏まえ、家族みんなが快適に過ごせる家づくりをしたいものです。ここからは、中庭のある家を建てる際に気をつけておきたいポイントを紹介します。
中庭の用途を明確にする
中庭はさまざまな用途で利用できますが、用途が明確でないと利用頻度が少なくなり、中庭を設けたことを後悔するかもしれません。小さい子どもがいる家庭では庭に遊具を置き、子どもが遊べる空間として使う、植物が好きな場合は野菜や花を育てる場所にする、などあらかじめ用途を決めておきましょう。
はじめに用途を決めておくと、適切な広さを確保でき、庭に合わせた家の間取りを考えやすくなります。
シンプルな形状にする
中庭のある家は建築コストが高くなりやすいですが、庭や建物の形状をシンプルにすることでコストを抑えられます。また、形状がシンプルだと掃除しやすくなる点もメリットです。
建物の形状や間取りが複雑になると、生活動線も悪くなる傾向にあります。ライフスタイルに合わない間取りでは不便に感じ、日々の生活でストレスが溜まってしまいます。快適性と開放感、利便性のバランスが取れた間取りを考えることが大切です。
窓の位置・サイズを考慮する
窓の位置やサイズは室内の温度環境に影響するため、快適に暮らすために重要な要素です。小さい窓を設置してしまうと、想定よりも採光や通風を確保できず、室内が暗くなったり、湿度が高くなったりする可能性があります。大きな窓を設置するなどして、快適な温度を保つ工夫が必要です。ただし、窓が大きくなると、その分断熱性能が損なわれやすいため、一部二重のガラス窓にするなど工夫しましょう。
中庭のある家の施工事例
家を建てる前には、いくつか施工例を見ておくと安心です。良い部分を参考に、自分たちの家づくりに取り入れましょう。
以下では、3つの施工事例を紹介します。
田園を切り取るコの字の平屋
中庭を第二のリビングとして活用している平屋住宅の事例です。コの字型の中庭がある家では、人目を気にせず庭でBBQを楽しめます。庭に段差を設けたことで腰掛けの場所ができ、家族の憩いの場となっています。
玄関や廊下、LDKからも景色を眺められ、開放感のある空間に仕上がっているのが特徴です。生活動線も良く、家事がしやすいと満足されています。
階段越しの中庭が美しい家
落ち着いた外観が印象的な住宅には、コの字型で中庭を設けています。中庭があることで開放感が得られ、プライバシーもしっかりと確保できているのが特徴です。吹き抜けの高窓からは自然光が入るため、明るい室内空間を実現できました。
中庭にはタイルを敷き、アウトドアリビングとしておしゃれに活用されています。水回りは1カ所にまとめられ、洗濯動線がスムーズです。
趣味に囲まれたロの字の平屋
モルタルのキッチンカウンターや洗面スペースのタイル使い、輸入壁紙など、どこを切り取ってもセンスが光る住宅の事例です。平屋の中央に中庭を設け、それを取り囲むように個室が配されています。回遊性のある動線は利便性が高く、鏡裏収納などで室内はすっきりして見えます。
中庭から光や風が入るリビングは、明るく心地良い空間です。レコードやスケートボードなどの趣味を楽しんでいるご夫婦で、室内や庭には趣味を満喫できる工夫が施されています。
中庭のある家づくりは間取りの工夫が大切
さまざまなメリットがある中庭のある家ですが、いくつかのデメリットもあります。家づくりを失敗しないためにはポイントを押さえ、施工事例を参考にイメージしておくことが大切です。家族みんなが快適に暮らせる家づくりを目指しましょう。
コラボハウスでは、1つの家の設計に3人以上の設計士が携わっています。長く暮らせる家づくりのため、初回の打ち合わせからアフターメンテナンスまで全力でサポートいたします。中庭のある家など家づくりを検討している方は、まずはお気軽に資料請求してみてください。
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