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店舗併用住宅とは?建築基準法の制限や住宅ローン・火災保険について解説

土地について

2026.03.29

店舗併用住宅とは?建築基準法の制限や住宅ローン・火災保険について解説

自宅でビジネスを始めたい方にとって、店舗併用住宅は選択肢の一つとなり得ますが、職場・自宅をどのように住み分けて設計するかは悩みどころです。

本記事では、自宅開業予定の方に向けて、店舗併用住宅の定義や法的な制限、ローン利用の有無、設計のポイントなどを解説します。実際の施工事例も紹介しますので、参考資料としてご活用ください。

<このような方におすすめ>

  • 店舗併用住宅とは?店舗兼用住宅との違いを知りたい方
  • 建築基準法による制限や住宅ローンはどうなっている?一般的な住宅と異なる点を知りたい方
  • 店舗併用住宅にはどんなデメリットがある?注意点を知って間取り設計に活かしたい方

<この記事のまとめ>

  • 店舗併用住宅は住まいと店舗を一体化した住宅で、店舗部分は貸し出しも可能
  • 建築基準法上の用途地域や消防・保健所による要件もあり、通常の住宅建築より法的制限が多い
  • 設計を成功させるには、集客を意識した土地選び・外観・内装が前提で、将来の活用方法も考慮する

店舗併用住宅とは?店舗兼用住宅との違い

店舗併用住宅とは?店舗兼用住宅との違い

店舗併用住宅とは、同じ建物内に店舗と居住空間を混在させる住宅のことです。カフェや美容室、クリニック、小売店など活用の幅も広く、自ら営業するだけでなく、店舗部分をテナントとして貸すことも可能です。

間取りは1階を店舗、2階を住居にするスタイルが定番ではあるものの、広い平屋にして店舗と住まいを区切る事例も珍しくありません。

似た言葉に「店舗兼用住宅」があり、こちらは住まいと店舗を建物内部で行き来できる構造が前提です。一方で店舗併用住宅は、内部で行き来できる形式、出入口を分けて完全に独立させる形式の双方が含まれます。

また、店舗兼用住宅は「住宅」が主な用途となっており、延床面積の50%以上は店舗にできず、店舗だけを貸し出す運用も認められません。

店舗併用住宅を建てる際の法的制限

店舗併用住宅には、複数の法的制限があります。主な制限について、確認しておきましょう。

建築基準法の用途地域制限に注意

店舗併用住宅を計画する際は、建築基準法に関わる「用途地域」の確認が必須です。

用途地域とは、住環境や街並みを守るため、建てられる建物の種類や規模について制限するルールを示し、全部で13種類あります。

たとえば「第一種低層住居専用地域」では、原則として店舗併用住宅の建築は認められません。ただし、店舗部分が延床面積の半分以下、かつ50㎡以下、かつ認められている特定の業種であれば建築できる場合もあります。ほかの地域区分においても、同様に面積や階数の条件があるため、土地選びの段階で自治体やハウスメーカーなどに相談し、調べておくとよいでしょう。

さらに、店舗併用住宅は、不特定多数が利用する建物を指す「特殊建築物」に該当することがあります。業種や規模によっては、内装や避難経路などにも追加条件が生じる可能性があるため、事前に確認しましょう。

消防・保健所の要件があるケースもあり

建築基準法上の制限に加え、消防法への対応も必要です。

たとえば、避難しやすい動線の確保や火災報知器の設置、薬品を使う業種では十分な換気計画が求められます。

飲食店や美容室、ペット関連サービス、料理教室などは、原則として保健所の許可が必要です。地域ごとの条例もあるため、具体的なプランを検討する前に、関係する法令や必要な手続きを調査しておきましょう。

店舗併用住宅で住宅ローン・住宅用火災保険契約は可能?

店舗併用住宅で住宅ローン・住宅用火災保険契約は可能?

店舗併用住宅は、通常の住宅と異なる建物のため、ローンや火災保険の契約に不安を抱く方もいるでしょう。

ここでは、住宅ローンの利用有無や固定資産税、火災保険契約など金銭面で知っておくべきポイントを紹介します。

住居部分の割合によっては住宅ローンが組める場合あり

店舗併用住宅では、店舗部分は事業用ローン、住まいの部分は住宅ローンとして契約を使い分けるのが一般的です。

ただし、居住スペースが建物全体の半分以上を占め、店舗を第三者へ貸さない場合であれば、建物全体を住宅ローンの対象とみなす金融機関もあります。住宅ローン利用にできると、事業用より低金利で長期返済がしやすく、毎月の負担も抑えられるでしょう。

また、住宅ローン控除は、店舗併用住宅でも利用可能ですが、対象は原則居住部分のみです。建物全体で住宅ローンを組んでいる場合は、床面積に占める住居部分の割合を基に控除額を計算する必要があります。

固定資産税の軽減措置が受けられる場合あり

店舗併用住宅でも、住宅部分が一定割合を占めていれば固定資産税の軽減措置を受けられ、税負担を軽減できます。建物の階数や店舗の面積によって異なるものの、目安として住居部分が建物全体の床面積に対して4分の1以上あることが原則です。

条件を満たせば、一般住宅と同様に住宅用地の特例が適用され、課税標準額は土地の面積に応じて3分の1(一般住宅用地)または6分の1(小規模住宅用地)まで軽減されます。

住宅用の火災保険は保険料が高くなる

店舗併用住宅であっても、住宅向け火災保険への加入を認める保険はあります。一方で、住宅専用の建物しか対象にしない商品もあり、契約できない場合もあるでしょう。

仮に加入できても、一般住宅より保険料は高めになる傾向です。たとえば、飲食業などは業務での火の取り扱い、顧客による多数の出入りがあるため、火災リスクが高いと判断され「業種割増」として保険料を高めに設定するケースもあります。

補償内容としても、店舗用備品は対象外となる商品もあるため、不安であれば住宅用火災保険だけでなく、より広い補償を備えた店舗向け保険も含めて比較検討しましょう。

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業種別|店舗併用住宅の間取り成功事例

実際の店舗併用住宅は、どのように住まい・店舗を設計しているのでしょうか。

さまざまな業種の施工事例を紹介します。

ホテルライクな内装で暮らしに溶け込むサロン

ホテルライクな内装で暮らしに溶け込むサロン

エステサロンを設けた平屋の住まいです。

店舗部分と住宅部分は水回りを挟んで区分しており、店舗部分は壁紙のカラーを変えて視覚的にも空間を切り替えています。住宅側の水回りに隣接して店舗用としての用途も兼ねるトイレを設置しました。高級感のあるホテルのような内装で、サロンのイメージともマッチしています。

サロンスペースは、プライバシー確保のために、窓をあえて高い位置に設置しました。

ホテルライクな内装で暮らしに溶け込むサロンの施工事例を見る

店舗・居住空間の双方にくつろぎを与えるアンティークな美容室

店舗・居住空間の双方にくつろぎを与えるアンティークな美容室

1階に美容室を設けた、2階建ての住まいです。

店舗はアンティーク家具・雑貨・グリーンをバランス良く配置し、喫茶店のような落ち着きと可愛らしさを感じる内装です。住宅部分も同じ雰囲気の内装でまとめて、住宅全体で世界観を統一しています。

外構は、店舗入り口前に段差のあるアプローチを設けるスタイルにし、ドアを開けるときのワクワク感を高める演出です。

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複数形態でも建物全体が自然に調和するカフェ+サロン

複数形態でも建物全体が自然に調和するカフェ+サロン

カフェ・リラクゼーションサロン・住宅が一体となった2階建ての住まいです。

人の出入りが多いカフェは建物手前に、女性専用のサロンは人目に触れにくい奥まった場所に設けて空間を区切っています。

内装は各店舗のコンセプトに沿ったデザインですが、互いに浮くことなく調和しており、クラシカルな雰囲気が建物全体に漂っています。

カフェは2階部分も店舗用座敷スペースとしており、吹き抜けを通して1階を見下ろせる設計です。

複数形態でも建物全体が自然に調和するカフェ+サロンの施工事例を見る

店舗併用住宅のデメリットを踏まえた設計ポイント

店舗併用住宅を検討する際は、よくある失敗を確認しながら、マイナス部分をカバーできる設計にするのが理想です。ここでは、代表的なデメリットと対策を紹介します。

建てたけど顧客が来ない:集客力を見据えた全体設計にする

店舗併用住宅は住まいであると同時に、経営の場でもあるため、立地選びが非常に重要です。建物にこだわっても、競合が多い場所や視認性の低い土地では集客につながりにくく、十分な売上が見込めません。

まずは周辺地域の需要や客層を調べ、業種に合った場所かを見極めましょう。また、来店意欲を高める外観や入りやすい空間設計も欠かせません。

車での来店が想定される業種では、駐車場の有無が集客に直接影響するため、必要な台数を踏まえて土地の広さを検討しましょう。

家族の生活音が店舗に届いてしまう:プライバシー確保を意識する

サロンや美容室など、顧客がゆったりと過ごせる空間づくりが求められる業種では、家庭内の生活音がストレスになりかねません。住む方も、店舗の話し声や人の気配が気になって快適性が下がるリスクがあります。

そのため、店舗併用住宅では音や視線への配慮が欠かせません。たとえば、店舗と住宅の階を分ける、内部で行き来しにくい間取りにする、間仕切りや防音性の高い壁材を取り入れるといった工夫が有効です。屋外フェンスなどで視線を遮る設計も、プライバシー確保に役立ちます。

事業を辞めて店舗スペースを持て余す:貸し出しを見据えた設計にする

将来事業を辞めた際、活用方法を考えていないと、空いた店舗部分の扱いに困ることがあります。住居へ変更する選択肢もありますが、用途転換には大がかりな改修が必要で、コストも高額になりやすいです。

あらかじめテナントとして貸し出しやすい間取りや面積配分にしておき、廃業・移転後も建物を有効活用できるようにしておきましょう。テナントとして利用すれば、家賃収入が見込めて、事業を辞めても資産を構築できます。

法的制限の多い店舗併用住宅は土地探しもセットで相談するのが得策

法的制限の多い店舗併用住宅は土地探しもセットで相談するのが得策

店舗併用住宅は、立地や業種、店舗・住宅のバランスによって適用される法令が異なる複雑な建物です。また、事業継承や廃業も見据えて設計することが大切です。

「建てたけど集客できない」「音が気になって生活しにくい」といった失敗がないように、土地選びの段階でハウスメーカーへ相談しましょう。

コラボハウスでは、店舗併用住宅の設計や土地選びも対応可能です。土地探しに関するアンケートでは約9割のお客さまから「相談して良かった・安心した」との回答をいただいています。設計士による無料相談も行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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店舗併用住宅に関するよくある質問

Q. 店舗併用住宅はどのような業種に向いていますか?

美容室、カフェ、パン屋、雑貨店、ネイルサロン、整体院、設計事務所など、比較的小規模で運営しやすい業種と相性が良いです。特に、予約制のサービス業や地域密着型の店舗では、店舗併用住宅のメリットを活かしやすい傾向があります。必要な広さや設備、来客頻度に応じて計画することが重要です。

Q. 店舗併用住宅の建築費は高くなりやすいですか?

一般的な住宅に比べると、高くなることがあります。理由は、店舗部分に必要な設備や内装、来客対応のための仕様が加わるためです。業種によっては、給排水や換気、照明、音対策などに費用がかかる場合もあります。ただし、賃貸店舗を借りる費用と比較すると、長期的な視点でメリットを感じるケースもあります。

Q. 店舗併用住宅は防音やにおい対策が必要ですか?

業種によってはとても重要です。たとえば、美容室やカフェ、飲食系の店舗では、音やにおいが住居側に影響しやすくなります。そのため、壁や扉の仕様、換気計画、設備配置まで含めて考えることが大切です。住まいとしての快適さを保つには、店舗との境界計画が重要になります。

Q. 店舗併用住宅は売却しにくいですか?

一般住宅に比べると、買い手が限られる可能性はあります。店舗付きという特徴があるため、万人向けというより、条件に合う方に選ばれやすい物件になるからです。そのため、将来の売却や転用も見据えるなら、住居としても使いやすい間取りや、柔軟に用途変更しやすい設計を意識しておくと安心です。

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この記事を書いた人

Writer’s profile

八木 友之

●監修者情報
宅地建物取引士
行政書士
不動産コンサルティングマスター

●経歴
大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などに携わる。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。