コラム
中庭の広さの目安は?
サイズの選び方と注意点、間取りの施工事例を紹介
家づくり
2025.11.20
新築住宅に中庭を設ける際に悩みがちなのが「どのくらいの広さが必要か」という点です。敷地面積に応じて、中庭の広さは自由に選択できますが「広ければ良い」というものではありません。「最適な広さ」は家庭ごとに異なります。
本記事では、中庭の広さの目安やサイズの選び方、実際の施工事例を紹介します。中庭のある家で後悔しないための注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
中庭の広さの目安
中庭の広さの目安は、約5〜6畳とされています。5〜6畳の広さがあれば、中庭に鉢植えを置いて緑を楽しんだり、椅子とテーブルを設置してのんびり過ごしたりする空間を実現できます。
ただし、一般的な広さが「各家庭にとってもちょうど良い広さ」になるとは限りません。深く考えずに一般的な広さを採用すると「使い勝手が悪い」「自身の家庭には広すぎる」「メンテナンスが大変」といった後悔をする可能性があります。
中庭の良さを実感するためには、家族の希望や目的、使い方に合わせて、サイズを選ぶことが大切です。
中庭のサイズの選び方
中庭のサイズを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
| 広さ | 家族の希望や目的 |
| 3~4.5畳 | テーブルと椅子を置いてくつろぎスペースとして活用したい |
| 5~6畳 | 家族でBBQを楽しみたい |
| 6畳以上 | 大人数でBBQを楽しんだり、夏には子ども用のプールを置いたりしたい |
屋外の「ちょっとしたくつろぎスペース」として活用する場合、3〜4.5畳でも十分希望を叶えられます。
家族や友人同士でBBQやプールなどを楽しみたいと考える場合は、5〜6畳以上の比較的広い中庭が向いているでしょう。
中庭のサイズを検討する際は「どのようなシーンに利用したいのか」を明確にすることが重要です。
中庭の種類と魅力について
ひと言で「中庭」といっても、形状によって種類が異なります。ここでは、中庭の種類とそれぞれの魅力について紹介します。
ロの字型 | プライバシーを確保できる
ロの字型とは、四方を壁で囲む中庭のことです。中庭が間取りの中心に位置するため、周囲からの視線を気にする必要がなく、プライバシーを確保できます。
通風や採光を促す効果も期待でき、風通しや日当たりの悪さが課題になりがちな平屋住宅との相性も抜群です。複数の窓を設置すれば、部屋と中庭とを行き来しやすい動線を確保できます。
ただし、ロの字型は廊下が長くなりやすい分施工面積が大きくなり、十分な広さが必要なケースもあります。また中庭の水はけにも考慮しなければいけません。
コの字型 | 開放感と採光を得られる
コの字型は、庭の3面が壁で囲まれ、1面のみが外とつながる中庭のことです。外とつながる面があることで、屋内・屋外から出入りできるほか、視界が開け、開放感を得られます。また、採光しやすいという魅力もあります。
外との出入りがしやすいため、中庭でガーデニングを楽しんだり、洗濯物を干したりしたい場合も便利です。
ただし、コの字型は、ロの字型と比べてプライバシーを確保しにくいデメリットがあります。目隠しやフェンス、ルーバーなどを活用し、プライバシーの確保と開放感のバランスをとりましょう。
L字型 | 取り入れやすい中庭のスタイル
L字型とは、2面が壁で囲まれている中庭のことです。上部から見ると、建物の端が削れているような間取りです。シンプルなデザインで、コンパクトな住宅にも比較的取り入れやすいという魅力があります。
また、L字型は庭としての活用の自由度が高い点もメリットの一つです。間取り次第では中庭を見渡しやすく、子どもを安心して遊ばせられます。また、開放感のある中庭を実現しやすく、BBQやプールを楽しむなど、アウトドアリビングとしても活用できます。
ただし、L字型は2面が外部とつながる間取りのため、プライバシーを確保するための工夫が欠かせません。道路に面していない位置に中庭を設ける・植栽やデザインフェンスを設置するなど、防犯面も意識しながら間取りを計画しましょう。
中庭を取り入れるメリット
家に中庭を取り入れるメリットは以下のとおりです。
- 通風や採光性が向上する
- プライバシーを確保できる
- 多目的スペースとして活用できる
種類や間取り設計によって多少の差はあるものの、通風や採光性の向上・プライバシーの確保など、複数のメリットを得られます。
特に平屋住宅との相性が良く、中庭と面する壁に窓を設けることで、明るく快適な空間を実現しやすくなります。
また、中庭は多目的スペースとして活用できる点も魅力です。くつろぎスペースや家族との憩いの場、友人との食事など、幅広いシーンで活躍します。ウッドデッキ仕様にして子どもを遊ばせる、ハンモックを設置して休憩スペースにする使い方も可能です。
中庭のある家で後悔しないための注意点
中庭のある家は魅力的ですが、間取り次第では使い勝手が悪かったり、排水設備の不足で湿気がこもったりする可能性があるため注意が必要です。
ここでは、中庭のある家で後悔しないための注意点を紹介します。
生活動線を意識した間取りを計画する
中庭を取り入れる際は、生活動線を意識した間取りを設計するのがポイントです。
たとえば、子どもを見守れるようにリビングから中庭を見渡せる間取りを設計する、家事がしやすいように水回りを隣接するなどの工夫を取り入れる選択肢があります。
中庭を取り入れる場合は、生活・家事動線を具体的にイメージしつつ、中庭とのバランスを考慮することが大切です。
中庭の排水計画を考える
中庭を設置する際は、排水計画をしっかりと考えることが重要です。
特に、屋根がない中庭を設ける場合は、排水計画が快適さを左右します。中庭の水はけが悪いと、湿気がこもりやすく、虫が発生する可能性があります。
水はけの良い素材を選んだり、床に傾斜を設けて排水性を高めたりする工夫を取り入れるのがおすすめです。
メンテナンスのしやすさを考慮する
快適かつ美しい景観の中庭を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。しかし、面積が広ければ広いほど、草むしりや清掃などの手間がかかります。
メンテナンスを長期間怠ると、床が汚れるほか、溜まった落ち葉で排水溝が詰まり、水はけが悪くなる可能性があります。
そのため、メンテナンスのしやすさを考慮して中庭の広さを検討することも重要です。「自身が無理なく清掃できるか」という点も考慮しておくと、中庭のメンテナンスにかかる負担を軽減できます。
適度な広さの中庭がある家の施工事例
ここでは、ハウスメーカーの「コラボハウス」が実際に手掛けた、適度な広さの中庭がある家の施工事例を紹介します。
設計時に意識したポイントにも触れるので、中庭のある家の建築を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
中庭で木々も踊る平屋
ご家族の希望で木材をふんだんに取り入れた、温かみのある中庭付きの平屋住宅です。外観の軒天や窓枠、床材やリビング天井に至るまで、柔らかな印象の木材を使用しています。
住まいの中でご夫婦が気に入っているのは、コの字型の中庭です。リビングから見える美しい中庭にはコンクリートを敷き、ご主人が趣味としているダンスを楽しめる空間に仕上げました。植栽にもこだわり、景観を楽しめる空間としても家族に馴染んでいます。
階段越しの中庭が美しい家
コの字型の中庭を取り入れた2階建て住宅の施工事例です。中庭にはタイルを敷き、家族がくつろげる空間を実現しています。
敷地が人通りの多い道路に面していたため、周囲からの視線を気にせず過ごせるよう、外は閉じた外観に仕上げました。3面を壁で囲んだ中庭は、開放感を演出しつつプライバシーも確保できています。
夜になると間接照明が美しい陰影をつくり出し、リビングソファからスケルトン階段越しに美しい中庭を眺められる点も魅力です。
家中が見渡せる中庭のある家
ウッドデッキの中庭がすべてのフロアをつなぐ、開放感あふれる住宅の施工事例です。1階のどこにいても中庭を眺められ、家族の気配を感じられる間取りにしました。
コの字型の中庭は通風と採光性に優れ、心地良く過ごせる明るいLDKに仕上がっています。隣の住宅との間にフェンスや植栽を施し、プライバシーにも配慮した間取りです。
適度な広さの中庭を取り入れて、開放感のある快適な空間を実現しよう
適切な広さの中庭を取り入れれば、開放感あふれる明るい雰囲気の空間を実現できます。風通しや日当たりが心配になりがちな平屋住宅も、快適な住まいに仕上がるでしょう。
ただし「最適な中庭の広さ」は、家庭ごとに異なります。中庭の利用目的や住まいの理想などを明確にしたうえで、家庭に合ったサイズの中庭を設けることが大切です。
コラボハウスは、中庭がある家の施工事例が豊富です。お客様の希望を丁寧にヒアリングしたうえで、理想の住まいづくりをお手伝いいたします。中庭のある家づくりをご検討中の方は、無料相談会へ気軽にお越しください。
中庭の広さに関するよくある質問
中庭の広さは坪数に対してどのくらい確保するのが理想ですか?
総延床面積に対して 5〜10% を中庭に充てるケースが多いです。
例えば延床30坪の家なら 1.5〜3坪(約5〜10㎡) 程度がバランスの良い広さと言われています。
中庭が小さすぎるとどうなりますか?
以下のデメリットが起こりやすくなります。
・採光量が想定より入らない
・家具を置けず活用しづらい
・視覚的な開放感が得られにくい
・建物の凹凸だけが増え、コストが上がるケースも
最低でも 2〜3㎡ は欲しいという声が多いです。
中庭は広ければ広いほど良いですか?
一概に広いほど良いわけではありません。広くすると 建築コストが増加し、動線が長くなる場合があります。また、広すぎるとメンテナンスが負担になることも。
家族構成や過ごし方を踏まえ、“目的に合ったサイズ設計”が最重要です。
採光目的の場合と、くつろぎ目的の場合で広さの目安は変わりますか?
はい、目的によって大きく変わります。
・採光・通風中心:4〜6㎡
・ガーデニング中心:8〜12㎡
・アウトドアリビング中心:12〜20㎡
・BBQ・友人と集まる用途:15㎡以上
用途に応じて最適サイズは大きく変わります。
中庭の広さと間取りの関係で注意したい点は?
・LDKとの“つながり方”
・プライバシー確保
・リビングの採光量
・回遊動線の作りやすさ
・風の通り道の確保
中庭を中心にした間取りは魅力的ですが、隣接する部屋の配置で使いやすさが大きく変わるため、全体設計が重要です。
小さめの土地でも中庭は作れますか?
可能です。都市部の狭小地(20〜25坪)でも、コンパクトな2〜4㎡の中庭で採光効果や開放感は十分に得られます。ポイントは「吹き抜け+中庭」など、縦方向の工夫も合わせて行うことです。
中庭を広くすると建築費は高くなりますか?
はい。建物の壁面が増えるため、
・外壁工事
・基礎工事
・サッシ
などのコストが増える傾向にあります。ただし、LDKの帖数を抑えても“広がり”を演出しやすく、体感的な広さのコスパは非常に高い空間です。
中庭の広さで日当たりはどれくらい変わりますか?
中庭は 広さ × 形 × 高さ(隣家や自宅の壁の高さ) の影響を受けます。
一般的に、6㎡超えると採光効果が安定しはじめ、10㎡以上で一日を通して光が入りやすくなると言われています。
中庭を広くできない場合の代替案はありますか?
はい、次の方法で代替できます。
・吹き抜け+高窓で採光を確保
・ライトコート(小さな坪庭)で視線の抜けをつくる
・スリット窓+中庭方向の採光
・ルーフバルコニーを併用して外とのつながりを演出
広さに制約がある場合も、工夫次第で開放感を出せます。
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