コラム
2階建て住宅の老後を考えた間取りとは?
快適な住まいづくりのポイントを紹介
家づくり
2025.07.17

2階建ての注文住宅で長く住み続けると、若い頃には気にならなかった階段の上り下りや、部屋間の移動などが負担に感じるケースがあります。注文住宅を建てる際には、老後のライフスタイルまで考慮した家づくりが重要です。
本記事では、老後に向けた暮らし方の変化を踏まえ、2階建てと平屋それぞれのメリットや、2階建て住宅で老後を快適に過ごすための間取りのポイント、具体的な間取り事例まで徹底解説します。これから家づくりを始める方は、ぜひ参考にしてください。
老後のライフスタイルの変化
体力が低下したり家族構成が変わったりと、老後のライフスタイルの変化は避けられません。具体的にどのような変化が起き、どのようなリスクが生じ得るのか、2つの具体例を紹介していきます。
体力の変化
老後のライフスタイルの変化で特に考慮すべきは、体力の変化です。若い頃には何でもなかった少しの段差でつまずきやすくなったり、毎日の階段の上り下りが想像以上に負担に感じられたりするようになります。ちょっとした転倒が大きなケガに発展する可能性が高くなり、入院や介護が必要となるケースも少なくありません。
家族構成の変化
老後のライフスタイルを考えるうえでは、家族構成の変化も見逃せません。子どもがいる世帯では、いずれ子どもが成長して独立し、夫婦2人の生活に戻るケースが多く見られます。子どもの成長に合わせて間取りや部屋数を計画して家を購入した場合、子どもが独立した後は空き部屋ができやすくなります。
老後の生活は2階建てと平屋どちらがいい?
2階建てと平屋はそれぞれに魅力があり、どちらでも老後に快適な生活を送ることは可能です。それぞれのメリット・デメリットをまとめましたので、下表を参考にしてください。
2階建て | 平屋 | |
土地選び | 敷地面積が狭くても必要な広さの床面積を確保しやすく、都心部でも土地を見つけやすい | 広さが必要なため、土地探しに時間がかかり、郊外になる可能性が高い |
費用面 | 平屋と比べて建築コストを抑えやすい | メンテナンス費用は抑えられるが、建築費は高額になりやすい |
生活・家事動線 | 階段があるため、上下移動が将来的に負担となる可能性がある | ・ワンフロアで移動がスムーズ
・バリアフリー設計にしやすく、生活動線がシンプル |
利便性 | 都心部に建てやすく、交通アクセスや買い物など利便性の高い場所に住める | 生活動線が短く便利だが、立地が郊外の場合、交通・買い物などのアクセスが限定される場合がある |
安全性 | 階段でつまずきやすいリスクがある一方、浸水など災害の際には2階への垂直避難が可能 | 転倒リスクが少なく安全だが、水害時には浸水リスクが高い |
防犯面 | 上階は外部からの視線が届きにくく、プライバシーや防犯性を確保しやすい | ワンフロアのため、外部からの侵入リスクを考慮した防犯対策が重要 |
大切なのは、今の生活だけでなく、老後の暮らしもイメージしながら間取りを決めることです。
2階建て住宅の老後を考えた間取りポイント
老後を考えた2階建て住宅の間取りは、今だけでなく将来の暮らしに対応できるよう計画することが大切です。以下では、老後も2階建て住宅で快適に暮らすための具体的な間取りポイントを解説します。
階段を緩やかにする
2階建て住宅の階段は、傾斜がきついと転倒リスクや膝へのダメージが増えやすく、老後に安全に移動するには不向きです。傾斜を緩やかにすると、足腰の負担が軽減します。段差を低く、奥行きを広く設計することで、一歩ごとの負担を減らせるでしょう。設計段階で階段の幅を十分に広げたり、両側に手すりを設置したりするのも検討することをおすすめします。
1階と2階にそれぞれトイレを設置する
老後の生活を考えた2階建て住宅の間取りでは、1階と2階の両方にトイレを設置するとよいでしょう。高齢になるとトイレに行く頻度が多くなる傾向があり、寝室とトイレが近ければ、体に負担をかけずすぐに移動が可能です。利便性が高まるほか、夜間も安心して過ごせるでしょう。
バリアフリー化する
新築の設計段階からバリアフリーを意識しておくと、将来の暮らしも安心です。例えば、室内の段差をなくし、廊下やトイレの幅を広めに設計すれば、車椅子での移動や介護が必要になった際にも役立ちます。必要に応じて各所に手すりを設置したり、滑りにくい床材を選んだりする方法も効果的です。バリアフリー化を進めるほど建築コストは上がる傾向にあるため、予算に合わせて慎重に検討しましょう。
リビング横に居室をつくる
高齢になると階段の上り下りが体の負担となり、自然とリビングのある1階で過ごす時間が増える傾向にあります。リビング横に居室を設けると、子どもがいるときはキッズスペースや客間、趣味部屋としても活用できます。老後にはそのまま寝室にできるため、生活動線が短くなり、長期的に快適に暮らせるでしょう。
引き戸のドアにする
室内のドアを引き戸にすれば、少ない力でスムーズに開閉できるため、体への負担が少なく、高齢になっても楽に利用できます。開き戸とは違い、開閉時に前後のスペースを取らないため、車椅子での移動がしやすいのも利点です。車椅子だけでなく、廊下や部屋のデッドスペースが減り、効率的な空間利用が可能となります。
リフォームを前提に設計する
老後を考えた2階建て住宅の間取りを決める際は、将来的なリフォームを前提に設計するのが賢明です。ライフスタイルは年齢とともに大きく変わるため、後から間取りを変更できる家づくりが求められます。構造や工法次第では大規模なリフォームが難しくなるケースもあるため、新築段階から壁を取り払いやすい工法や設備の位置など、変更に対応しやすい設計を検討しておくとよいでしょう。
1階に収納スペースを設ける
収納スペースは、2階だけでなく1階に設けるのがおすすめです。2階にクローゼットがあると、服を出すたびに階段の上り下りが必要になり、体への負担が増えます。1階に大きなクローゼットや夫婦2人分の衣類が入るウォークインクローゼットをつくれば、将来的にも階段を使わずに身支度ができます。毎日の生活が楽になり、老後も安心して暮らせるでしょう。
玄関を広くする
玄関を広めにつくると、靴を履いたり脱いだりするときに座れるベンチを置いたり、後から手すりを付けたりと、改装しやすくなります。車椅子を使う際も、広い玄関であれば車椅子を置くスペースに困りません。家の中に入るためのスロープを、後から設置するのもスムーズです。
2階建て住宅で老後を快適に過ごせる間取り事例
2階建て住宅で老後を快適に過ごせる間取りは、実際の施工事例を参考にすることで具体的なヒントが得られます。以下では、老後を考えた2階建て住宅の事例を紹介しますので、確認してみてください。
【2階建て】1階だけで生活が完結する間取り
シンプルな構造と間取りが印象的な2階建て住宅です。今だけでなく老後の快適な生活も視野に入れ、1階だけで生活できるようにLDK・水まわり・主寝室をまとめた平屋風の設計となっています。ジグザグの動線がない間取りは体への負担が少なく、移動が楽になり、生活がスムーズになる点がメリットです。つまずきや転倒のリスクが減り、安全性も高まります。
【2階建て】段差をなくしたフラットな間取り
全体的にゆとりを感じさせる2階建て住宅の施工事例です。アウトドア好きらしい開放感にあふれたお家は、海外風の雰囲気に仕上がっているだけでなく、老後を見据えた工夫も随所に光ります。段差のないフラットな間取りは、どこまでもスムーズな移動を実現し、広々とした庭では、植栽を愛でたり、季節の移ろいを感じたりと、精神的な安らぎを得ることが可能です。将来にわたって安心が続く住まいとなっています。
新築時から老後を考えた間取り計画を立てよう
2階建ての注文住宅を建てる際は、老後を考えた間取りをつくることで、体力の衰えや家族構成の変化など、老後のライフスタイルの変化に対応できます。ただし、設計や施工は、実績のある会社に依頼するのが賢明です。
コラボハウスでは、さまざまな要望を設計士に直接相談できるため、理想の住まいを効率よく建てられます。無料相談も受け付けていますので、いつでもお気軽にご利用ください。
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