コラム
回遊動線とは?後悔しない間取りの
つくり方や設計時のポイントを解説
家づくり
2025.05.29

「毎日の家事で同じ場所を行き来して疲れる」「水回りが離れていて家事効率が悪い」など、住まいの動線に悩む方は多いのではないでしょうか。家事の効率が上がり、暮らしやすさに直結するのが「回遊動線」です。適切に設計された回遊動線は、日常生活をスムーズにし、家事効率を高めてくれます。しかし、メリットだけでなくデメリットもあるため、計画的に取り入れることが大切です。この記事では、回遊動線の基本や設計時のポイントなど、家づくりを考えている方に向けてわかりやすく解説します。
回遊動線とは
回遊動線とは、家の中に行き止まりがなく、ぐるっと一周できるように設計された移動経路のことです。通常の間取りでは、一つの部屋を出入りする際は、来た道を引き返す必要があります。一方で、回遊動線のある間取りでは、別の出入り口から出られるため、来た道に引き返さずスムーズに移動できるのが特徴です。例えば、キッチンから洗面所、リビングへと続く動線があれば、調理と洗濯を同時に進めやすくなります。
回遊動線をつくるメリット
回遊動線を取り入れると、生活の質が向上するさまざまなメリットがあります。家事の効率化だけでなく、家族全員が快適に過ごせる空間づくりにもつながるでしょう。以下では回遊動線のメリットについて解説していきます。
家の中の移動距離・時間を短縮できる
回遊動線があると目的の場所へ最短距離で移動できるため、無駄な動きが減るのがメリットです。キッチンで料理中に洗濯物を干す必要があるとき、通常であれば一度廊下に出て洗面所に移動しますが、回遊動線があれば廊下を介さず直接行けるため、時間と労力を節約できます。日々の小さな移動時間の短縮が積み重なると、生活のストレスが減少し、余裕のある暮らしが実現するでしょう。
ルートが分散されて渋滞しにくい
回遊動線では一つの場所への行き方が複数あるため、家族同士がぶつかったり待ち時間が発生したりすることを減らせます。特に朝の忙しい時間帯は、洗面所やキッチン、トイレに家族が集中しがちです。回遊動線があれば別ルートを使えるので、「洗面所が空くのを待っている間に遅刻しそう」といった焦りから解放されるでしょう。朝の準備がスムーズになり、気持ちよく一日をスタートできます。
家事効率がアップする
回遊動線は、水回りを効率的につなげることで家事の負担を軽減することが可能です。キッチン、洗面所、脱衣室、ランドリースペースを連続した動線でつなげると、料理をしながら洗濯機を回したり洗濯物を干したりと、複数の家事を同時進行しやすくなります。行き止まりがないため、別の作業に移るときもスムーズです。思いついたときにすぐに行動に移せる環境が整います。
開放的な空間になる
回遊動線を取り入れると、部屋と部屋をつなぐ開口部が増えるため空間に広がりが生まれます。壁が少なくなり視線が遮られにくくなることで、コンパクトな住宅でも広々と感じられるのが特徴です。特に、リビングやダイニングなど家族が集まる空間では、閉塞感が減って快適に過ごせます。また、日当たりや風通しもよくなるため、より開放的な住環境を実現できるでしょう。
回遊動線をつくるデメリット
回遊動線には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。計画段階でデメリットを理解し、対策を考えておくことが後悔のない家づくりをするうえで重要です。以下でそれぞれ解説していきます。
生活スペース・収納スペースが減る
回遊動線をつくるには通路スペースが必要となり、その分、居住空間や収納スペースが削られます。限られた面積内で無理に導入すると、リビングが狭くなったり収納が不足したりするかもしれません。収納が足りないと、物があふれて回遊動線も使いにくくなるでしょう。家族の持ち物の量を考慮し、必要な収納量を確保したうえで計画を進めることが大切です。
不要な出入り口が増える
回遊動線をつくるには複数の出入り口が必要ですが、実際の生活では使わない出入り口ができることがあります。例えば、キッチンと和室をつなぐ動線をつくっても、普段和室の利用が少なければ、その空間は無駄になってしまいます。家族の生活スタイルに合わせ、本当に必要な動線かどうかを見極めましょう。
壁面が減る
回遊動線を採用すると出入り口が増えるため、壁面が少なくなります。壁が少なくなると耐震性に影響が出る可能性があるため、構造面での配慮が必要です。特に地震の多い日本では、耐震性の確保は欠かせません。回遊動線を検討する際は専門家と相談し、耐力壁の配置バランスや補強方法について十分に検討し、住みやすさと安全性を両立させましょう。
家具の配置が制限される
回遊動線では通路部分に家具を置くことができないため、家具の配置場所が限られます。壁面が減ることで、背の高い家具を置ける場所も少なくなる可能性があります。大型家具やこだわりの家具がある場合は、事前に配置をシミュレーションしておきましょう。将来的な模様替えの可能性も考慮し、ある程度の自由度を残した間取りにしておくと、長く快適に暮らせます。
回遊動線を採用する際の設計ポイント
回遊動線を上手に取り入れるためには、いくつかの重要なポイントがあります。後悔しない家づくりのために、以下のポイントを参考に計画を進めましょう。
家族の行動をイメージする
回遊動線を効果的に取り入れるには、家族の日常的な行動をイメージすることが大切です。朝の準備や帰宅後の動き、家事の進め方など、さまざまな場面を想像してみましょう。子どもの部活帰りや買い物帰りの動線も考慮すると、より使いやすい動線をつくりやすくなります。家族で話し合いながら、実用的な回遊動線を実現しましょう。
あらかじめ必要なスペースを確保しておく
回遊動線を計画する前に、快適に過ごせる居住スペースと収納を確保しましょう。特に収納は、家族の所有物に合わせた容量の確保が必要です。また、収納の配置も重要で、玄関近くにコート類やバッグの収納、洗面所近くに洗濯用品の収納など、使用頻度の高い場所の近くに収納をつくると便利です。生活に必要なスペースを確保したうえで、効率的な回遊動線を検討するとよいでしょう。
回遊動線をつくることを目的にしない
回遊動線は生活をスムーズにする手段であり、目的ではありません。「回遊動線がある家」に憧れを持って計画すると、不要な動線ができたり、居住スペースが犠牲になったりします。まずは家族の暮らし方や理想の生活を考え、理想を実現するために必要な回遊動線かを判断しましょう。
施工実績が豊富な建築会社に依頼する
回遊動線を取り入れた間取りづくりには、専門知識と経験が必要です。壁の配置による耐震性の確保や、効率的な動線設計など素人では気づかないポイントもあります。失敗を避けるには、回遊動線がある家づくりの実績が豊富な建築会社へ依頼しましょう。経験豊富な設計士であれば、家族のライフスタイルに合った最適な回遊動線を提案してくれます。
回遊動線をつくってストレスのない間取りを実現しよう
回遊動線を適切に取り入れると、移動のしやすさや家事効率のアップなど、生活の質が向上します。ただし、メリットとデメリットを理解し、家族の生活スタイルに合わせた計画が大切です。
コラボハウスでは、設計士が直接お客様と向き合い、理想の住まいづくりをサポートします。回遊動線に関するご相談も、豊富な実績を持つ設計士が対応します。ぜひ一度、無料相談会をご利用ください。
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