コラム
母一人と暮らす二世帯住宅の間取り決め
建築時のポイントまで徹底解説
家づくり
2025.05.26

母一人と同居する二世帯住宅を検討している方の中には、どのような間取りが最適なのかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。二世帯住宅には主に3つの種類があり、母親との関係性やお互いの暮らし方によって検討する必要があります。
この記事では、母一人と暮らす二世帯住宅の種類や、建てる際のポイントを解説します。近い将来、母親と暮らす予定のある方はぜひ参考にしてください。
【種類別】二世帯住宅のメリット・デメリット

二世帯住宅は、主に「完全分離型」「一部共有型」「完全同居型」の3つに分けられます。まずは、二世帯住宅のそれぞれの種類について、メリットやデメリット、向いているケースをみていきましょう。
完全分離型
完全分離型とは、玄関や水回りを含め、居住スペースを完全に分離する二世帯住宅を指します。例えば1階と2階で居住スペースを分けたり、建物を左右に分けて区切ったりする方法があります。完全分離型のメリット・デメリット、向いているケースは以下のとおりです。
完全分離型の二世帯住宅ってどんな家?間取りタイプや建築時の注意点に関して、こちらの記事で詳しく紹介しています。
完全分離型の二世帯住宅ってどんな家?間取りタイプや建築時の注意点
二世帯住宅の完全分離型の予算はいくら?種類別の相場と節約ポイントに関して、こちらの記事で詳しく紹介しています。
二世帯住宅の完全分離型の予算はいくら?種類別の相場と節約ポイント
メリット
完全分離型のメリットは、プライバシーをしっかり確保しつつも、困ったときにはお互いに助け合える点です。完全分離型ではお互いの生活に干渉することがないため、家事や生活リズムなどでストレスを感じにくいでしょう。
また、将来的に母親の世帯が空いた場合は、賃貸住宅にするなどの資産活用ができることもメリットです。
デメリット
完全分離型の二世帯住宅は、玄関や水回り、設備なども別々に設けることから、建築費用が高くなりがちです。また、建築面積も広く確保するケースが多く、その分土地代が高くなることも考えられるでしょう。
その他、お互いの様子が見えずコミュニケーションがとりにくいことや、水道光熱費・食費などがそれぞれかかるため、生活費が割高になるなどのデメリットも考えられます。
向いているケース
完全分離型は、お互いの生活スタイルを変えずに維持したい場合や、プライバシーを守って生活したい場合に向いています。
また母親が比較的若く、身の回りのことを自分で完結できる場合は完全分離型でも心配が少ないでしょう。世帯間でのトラブルを避けつつ、できるだけ近くで暮らしたい方は完全分離型がおすすめです。
一部共有型
一部共有型とは、玄関や水回り、リビングなどの一部を二世帯で共有する間取りを指します。一部共有型のメリット・デメリット、向いているケースについて詳しくみていきましょう。
メリット
一部共有型の二世帯住宅であれば、つかず離れずの適度な距離感で生活できます。家事を分担したり、子育てや介護などをお互いに協力しあったりしたい場合にメリットが大きいでしょう。
また、水道光熱費を二世帯でまとめることで、ランニングコストを割安にできる点もメリットです。一部共有型の二世帯住宅は、完全分離型と比較して延床面積をコンパクトにまとめやすく、土地代や建築費用も抑えやすい傾向にあります。
デメリット
一部共有型の場合、水道光熱費や居住スペースを完全に分けられないため生活費の線引きが難しいことがデメリットです。また、水回りなどの共有部分の使い方や掃除の仕方などに不満を覚え、お互いにストレスを感じることもあるでしょう。
共有スペースを使う際に気を遣ってしまい、思いのほか同じ時間に過ごす機会が減ってしまうかもしれません。
向いているケース
一部共有型は共働きで子どもがいる家庭など、家事・育児に忙しい世帯に向いています。母親に家事や子育てをサポートしてもらえれば、夫婦ともにフルタイムで仕事をすることも可能でしょう。
また、建築コストや水道光熱費を抑えられるため、お互いに出費を減らすことも期待できます。
完全同居型
完全同居型とは、個室以外のすべての空間や設備を共有する二世帯住宅を指します。完全同居型のメリット・デメリット、向いているケースは以下のとおりです。
メリット
完全同居型は一般的な住宅と間取りが変わらないため、建築コストやランニングコストがほかの二世帯住宅と比較して安価に抑えられることがメリットです。また、いずれ一世帯で暮らすことになった場合でも、間取りや設備を無駄なく使用できることもメリットといえます。
お互いに毎日顔を合わせることになるためコミュニケーションがとりやすく、何かあったときもすぐにサポートできる点が特徴です。
デメリット
完全同居型の場合、お互いのプライバシー確保が難しいことがデメリットです。生活を干渉されてストレスに感じることも少なくないでしょう。
特に生活リズムが異なる場合、生活音などにも配慮する必要があります。また、お互いの友人を家に呼びにくいなどの問題もあるでしょう。
向いているケース
完全同居型は、介護や育児などのより手厚いサポートが必要な場合や、コミュニケーションを重視する場合に向いています。特に、親が高齢で日常的に食事や入浴などのサポートが必要なケースでは、近距離で見守れるほうが安心できるでしょう。母親との関係が良く、お互い気兼ねせずに暮らせるかどうかも重要なポイントです。
母一人と子世帯の二世帯住宅を建てる際の4つのポイント

母一人と同居する場合、プライバシーやコミュニケーションの必要性、生活コストの負担割合など、さまざまな点を考慮して間取りを決める必要があります。ここでは、母一人と暮らす二世帯住宅を建てる際の注意点について解説します。
バリアフリーを検討する
現時点で母親が元気でも、将来は介護が必要になるかもしれません。トイレや玄関、廊下などの幅を広く設け、室内には段差をつけないなど、車椅子が通れる仕様にしておきましょう。
また、手すりや滑りにくい床材の採用など、転倒防止の対策も重要です。バリアフリーのリフォームは大掛かりな工事になりやすく費用もかさむため、新築段階でバリアフリーを採用しておくことをおすすめします。
適度にコミュニケーションを取れる機会を設ける
完全分離型の二世帯住宅の場合は、特にコミュニケーションの機会が少なくなりがちです。お互いの様子が少しでも見えるよう、顔を合わせられるスペースを設けるなど間取りを工夫しましょう。
また、定期的に一緒に食事をする機会を設けると、母一人でも孤立しにくくなり良好な関係を保ちやすくなります。
生活音に配慮して間取りを決める
多くの場合、親世帯と子世帯とでは生活リズムが異なります。一部共有型や完全共有型の場合は、お互いの個室や寝室、リビングを離して配置するなど間取りを工夫しましょう。
生活音以外にも、二世帯住宅で問題になりやすいポイントについては実績豊富な施工業者に相談すると安心です。二世帯での生活が快適に送れるよう、間取りには十分注意しましょう。
費用負担について話し合って決める
二世帯住宅の暮らしでは、水道光熱費などの負担割合をあらかじめ決めておくことも重要です。一部共有型や完全共有型の場合、二世帯分がまとめられるため、どちらかが負担額に納得できないとトラブルに発展しやすくなります。
それぞれの水道や電気などの使用頻度を考慮したうえで、お互いに納得できる負担割合を決定しましょう。
母一人と二世帯住宅で暮らす場合の間取りは慎重に検討しよう

母一人と二世帯で暮らす場合、お互いの性格や生活リズムを踏まえたうえで快適に暮らせる間取りを検討することが大切です。プライバシーを重視したい、コミュニケーションを重視したい、トラブルを避けたいなど、希望に応じて最適な間取りになるように施工会社と相談しましょう。
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二世帯住宅(母一人)に合う間取りに関するよくある質問
母一人との二世帯住宅は、どんな間取り形式が多いですか?
実例で特に多いのは以下の3タイプです。
① 部分共有型:玄関共有、水回りの一部独立
→ コストを抑えつつ“距離感”を保ちやすい
② 上下分離型:1階を母世帯、2階を子世帯→ 老後の移動負担を減らせる
③ セミ独立型:ミニキッチンの設置など水回りを独立
→ 生活時間が違う家庭に最適
母一人の場合は「部分共有+1階に母の生活空間」が最も満足度が高い傾向です。
母一人の生活スペースは、どれくらいの広さが必要ですか?
快適な広さの目安は以下です。
最低限:6〜8畳(寝室)
標準:10〜12畳(寝室+小リビング)
贅沢:15〜18畳(寝室+小リビング+ミニキッチン)
最も多いのは “8〜10畳の寝室+収納+近くに洗面” の構成です。
母の生活空間は1階と2階どちらが良いですか?
結論、1階が圧倒的におすすめです。
理由としては、
・老後の階段移動の負担がない
・トイレ・洗面の距離が短く使いやすい
・夜間の安全性が高い
・将来、介護動線を確保しやすい
ほぼすべての施工事例で「母1階・子2階」の形が採用されています。
母の居住空間にキッチンは必要ですか?
必要かどうかは“暮らしの距離感”で決まります。
キッチンありがおすすめのケース
・食事時間がズレる
・料理が好き
・プライバシーを重視
・自立した生活を希望
キッチンなしがおすすめのケース
・食事は一緒にとる
・コストを抑えたい
・共有スペースを増やしたくない
最も多いのは ミニキッチン(90〜120cm) の採用です。
間取りで気をつけたい“生活リズムの違い”は?
特に以下を考慮すると快適になります。
・寝室の隣に洗濯スペースを置かない
・母の寝室の奥行きを玄関から離す
・子世帯のリビング音が伝わらない配置
・トイレは寝室近くで1階に1つ必須
・廊下や室内に“引き戸”を多用して音を軽減
生活リズムの違いを吸収できる設計が重要です。
二世帯住宅で母一人の場合、どの設備を“独立”させるべき?
優先順位は以下です。
【最優先】
・トイレ
・洗面台
【できれば独立させたい】
・お風呂(or時間帯を分けられる運用)
・玄関収納(母専用の小スペース)
【場合による】
・キッチン
・リビング的な小空間
部分共有×必要部分だけ独立、が一番コスパ良く快適です。
母一人の二世帯住宅で人気の間取りパターンは?
① 1階に母の生活空間+子世帯とLDK共有
→ コストを抑えつつ程よい距離感
② 1階母世帯・2階子世帯の上下分離型(玄関共有)
→ 動線が分かれ、生活リズムの違いに強い
③ 1階に母のワンルーム+ミニキッチン+トイレ
→ 自立型でプライバシーが高い
④ LDKと母の部屋を“少し離れた位置”に配置
→ 音問題が最小化される
将来介護が必要になった場合の間取りの工夫は?
母の部屋は1階に、
・隣にトイレ(引き戸)
・介護ベッドが入る間取り
・玄関から寝室まで“段差ゼロ”
・トイレ・洗面・浴室は近くに配置
・車椅子対応の幅(廊下90cm以上)
今から“軽度介護対応”を意識すると長く住めます。
母一人との二世帯住宅、費用はどう変わりますか?
一般の注文住宅より、+200〜500万円程度が目安です。
内訳:
追加の水回り(トイレ・洗面)
収納・建具の増加
間取り分離のための廊下・壁
ただし、“完全分離”に比べ 部分共有型はコストを抑えやすいです。
母一人の二世帯住宅、どのくらいの距離感が理想?
実例で最も満足度が高い距離感は、
「玄関共有」「LDKは別」「水回り一部独立」
この“半独立スタイル”が生活リズムも尊重でき、家族関係も良好になりやすい傾向です。
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