コラム
完全分離型の二世帯住宅ってどんな家?
間取りタイプや建築時の注意点
家づくり
2025.05.22

完全分離型の二世帯住宅は、親世帯と子世帯の生活空間を完全に独立させた住まいの形です。プライバシーを確保しつつ、近くに住む安心感を得られる完全分離型ですが、「建築費用が高くなるのでは?」「水道光熱費はどうなるの?」など、気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、完全分離型二世帯住宅の代表的な間取りタイプやメリット・デメリット、建築時に気をつけたいポイントなどをわかりやすく解説します。二世帯住宅を検討している方は、ぜひ理想の住まいづくりの参考にしてください。
完全分離型の二世帯住宅とは
完全分離型の二世帯住宅は、玄関からすべての居住空間が別々になっているのが特徴です。そのため、それぞれの世帯が独立して生活でき、プライバシーを守りつつ、近距離で助け合えるのが魅力です。建物を左右や上下で分けるパターンがあり、将来の変化にも柔軟に対応できる住まいといえます。
ほかにも、二世帯住宅には部分的に共有する「一部共有型」や、ほとんどの空間を共有する「完全共有型」があります。
完全分離型の二世帯住宅の間取りタイプ
完全分離型の二世帯住宅には「上下分離型(横割りタイプ)」と「左右分離型(縦割りタイプ)」があり、暮らし方に応じて選択することが重要です。ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
上下分離型(横割りタイプ)
上下分離型(横割りタイプ)は建物が上下で分かれる構造で、各世帯が上下階で暮らします。生活がワンフロアで完結するため、動線をスムーズに取ることが可能です。
また、階段が一つで済むため間取りも効率的で、一般的に親世帯が1階部分に住むケースが多く、階段なしで暮らせる点も安心です。ただし、上階の音が下の階へ響きやすい傾向があるため、親世帯の寝室の上に子世帯のLDKを配置しないなど、生活音への配慮が必要でしょう。
左右分離型(縦割りタイプ)
左右分離型(縦割りタイプ)は隣り合わせで生活する二世帯住宅で、音や振動などの悩みが比較的少なく、お隣さん感覚で交流しやすいのが特徴です。ただし、左右分離型は広い土地が必要なことから2階建てにすることも多く、親世帯にとっては階段移動などを負担に感じることもあるでしょう。
長く快適に暮らすためには、ホームエレベーターの設置などが必要になるケースもあり、その分コストがかかる可能性があります。
完全分離型の二世帯住宅のメリット
完全分離型の二世帯住宅は、各世帯の生活空間を完全に分けることでさまざまなメリットを享受できます。ここでは完全分離型二世帯住宅の主なメリットを解説しますので、参考にしてください。
プライバシーを確保できる
完全分離型の二世帯住宅では、キッチンや浴室、トイレ、リビングなどの空間や設備が完全に分かれているため、各世帯のプライバシーをしっかりと確保できます。お互いの生活に干渉することなく、ストレスの少ない快適な暮らしを実現できるでしょう。
お互い助け合って生活もできる
完全分離型の二世帯住宅では常に近い場所にいるため、何かあったときにお互いが支え合って生活できます。ケガや病気などの際はすぐに駆けつけることができ、お互いを支え合いながら安心して暮らせるのが特徴です。
また、親世帯は子世帯からのサポートを受けやすく、子世帯は育児を手伝ってもらいやすいなどのメリットもあります。
将来的に資産活用できる
完全分離型は、どちらか一方の世帯の住空間を使わなくなった場合、賃貸として貸し出したり、売却したりすることが可能です。しかし、もう一方の残る世帯との距離が近いため、借り手や買い手の選択肢が狭まる可能性もあるでしょう。資産活用の可能性がある場合は、間取りやデザインはできるだけシンプルにしておくのがおすすめです。
税金の優遇措置を受けられる
完全分離型の二世帯住宅を相続する際、さまざまな税制優遇を受けられる可能性があります。例えば完全分離型の二世帯住宅の場合、小規模宅地等の特例を活用できるほか、固定資産税や不動産取得税の軽減、住宅ローン控除などが適用されることもあります。これらの優遇措置を受けることで、相続時の負担を軽減することが可能です。
二世帯住宅の完全分離型の予算はいくら?種類別の相場と節約ポイントに関して、こちらの記事で詳しく紹介しています。
二世帯住宅の完全分離型の予算はいくら?種類別の相場と節約ポイント
水道光熱費を世帯ごとに分けられる
完全分離型では水道光熱費を世帯ごとに分けられ、支払いが明確でスムーズになる点がメリットです。完全共有型や一部共有型では水道やガス、電気などの使用量が曖昧になりやすく、使用頻度の高さや使い方などによって支払いで揉めるケースもあります。
完全分離型で設備やメーターを世帯ごとに分けておけば、各世帯が使用した分だけ支払うことができます。
建物内部のデザインは希望を反映できる
完全分離型の二世帯住宅は世帯ごとに住空間が独立しているため、親世帯と子世帯それぞれの好みに合わせたデザインが可能です。間取りや内装、家具、設備なども、自由にカスタマイズできます。
子世帯は家事効率を重視した間取り、親世帯はバリアフリー設計にするなど、ライフスタイルに応じた快適な空間づくりができ、暮らしにくさによる負担やストレスが感じにくくなるでしょう。
完全分離型の二世帯住宅のデメリット
完全分離型の二世帯住宅はプライバシーが保たれ独立した生活が可能な一方で、いくつかのデメリットもあります。ここでは、完全分離型のデメリットを解説します。
土地代・建築費用が高くなる
完全分離型は、ほかの二世帯住宅のタイプと比べて土地や建物を広く確保することが必要です。同じ敷地内に二世帯分の間取りや設備が必要となるため、土地代や建築費が高くなります。また、キッチンや浴室などの設備も二世帯分を準備しなければならないため、費用面での負担が大きくなるでしょう。
水道光熱費が二世帯分かかる
完全分離型の二世帯住宅では、世帯ごとの水道光熱費が明確にわかるため、支払いが分けやすいのが特徴です。一方で、キッチンや浴室、トイレなどの設備が二世帯分必要となるため、水道光熱費がトータルでは割高になります。住宅タイプは光熱費や生活費に影響するため、コストパフォーマンスを重視する場合は完全共有型や一部共有型を検討してみるのもよいでしょう。
コミュニケーションが少なくなる可能性がある
完全分離型はプライバシーが確保されやすい一方で、日常的なコミュニケーションが減ってしまう可能性があります。生活リズムが異なり顔を合わせる機会が少なくなると、一緒に住んでいても関係が希薄になり、高齢の親世帯が孤立しやすくなるため注意が必要です。定期的に食事を共にするなど、適度にコミュニケーションを取る機会を設けるようにしましょう。
完全分離型の二世帯住宅を建てる場合の注意点
完全分離型の二世帯住宅は、各世帯が快適な生活を送れる魅力的な選択肢ですが、建てる際にはいくつかの注意点があります。ここでは、注意しておきたいポイントを3つ紹介します。
設計を工夫する
完全分離型の二世帯住宅で後悔しないためには、親世帯と子世帯それぞれが暮らしやすい間取りと設計を心がけることが重要です。生活リズムの違いによる音漏れなどを考慮したうえで部屋の配置を決めたり、必要な設備を取り入れたりなど、柔軟に対応できる設計にするとよいでしょう。防音対策を施し、音漏れを最小限に抑えるなどの工夫も効果的です。
暮らしのルールを決める
完全分離型とはいえ、同じ敷地や建物内で暮らすため日常的な接触は避けられません。日々の生活でお互いにストレスを与えないよう、生活ルールを決めておくとよいでしょう。二世帯で過ごす時間や食事をとる日程やゴミ処理方法などを事前に決めておくことで、無用なストレスを防げます。お互いの生活スタイルを尊重して理解し合うことは、快適に暮らすために欠かせないポイントです。
ライフステージの変化を考慮して決める
親世帯は介護が必要になったり、子世帯は子どもが増えたり巣立ったりなど、長い年数が経つとライフステージが変わっていきます。そのため、ライフステージの変化に対応できる家づくりが大切です。
先述のとおり、将来的に一世帯分を賃貸として貸し出したり、売却したりすることも可能です。ライフステージの変化を見越した柔軟な設計により、快適な生活を実現しやすくなるでしょう。
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完全分離型の二世帯住宅を理解して後悔しない家づくりを
完全分離型の二世帯住宅は、プライバシーの確保と安心感を両立できる理想の住まいです。家を建ててから後悔しないためにも、特徴やメリット・デメリットをしっかりと理解し、将来の変化も見据えた柔軟なプランで、長く心地よく暮らせる家づくりを目指しましょう。
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