コラム
親との同居はストレス?
同居の判断基準や成功させるポイントを紹介
家づくり
2025.05.22

家づくりは夫婦や子どもとの暮らしだけでなく、親との同居を考慮して行うケースがあります。「親の健康が心配」「子育てと仕事の両立が難しい」「将来の経済的な不安」など、さまざまな理由から親との同居を検討される方は多いです。しかし、同居にはメリットとデメリットの両面があり、家族全員が快適に暮らすためには事前の準備が大切です。この記事では、親との同居の判断基準やうまくいくポイントを紹介します。
親と同居する理由
親と同居する理由として、主に以下のようなケースが挙げられます。
- 親が高齢になってきたため老後が心配
- 子育てが落ち着いて時間に余裕ができた
- 家賃や生活費を節約したい
- 収入が減少した
- 共働きのため育児との両立が難しい など
特に近年の物価上昇や住宅費の高騰を受けて、将来の資金面を考えて同居を決めるケースも増えています。次に、近年の高齢者の住まいの状況について見ていきましょう。
高齢者の一人暮らしが増えている
日本では急速に高齢化が進み、高齢者の住まいについても大きく変化しています。内閣府の令和6年版高齢社会白書によると、1990年頃は高齢者のいる世帯の約40%が三世代同居でしたが、2021年には10%以下に減少し、代わりに夫婦のみの世帯や一人暮らしの世帯が30%前後まで増えています。さらに、今後も高齢者の一人暮らし世帯は増加傾向です。65歳以上の一人暮らし世帯は、2020年の約672万世帯から2050年には約1,084万世帯になると予測されています。このような状況から、親の健康や生活を気にかける子世代が増えているのが現状です。
親と同居するメリット
親との同居にはさまざまなメリットがあります。日常生活の負担軽減や親の健康状態の把握のしやすさ、経済的負担の軽減など、同居を検討する際は以下のようなメリットも参考にしてみてください。
家事・育児を分担できる
親と同居することで、日々の家事や育児の負担を分担できるのは大きなメリットです。掃除や洗濯、食事の準備などを手伝ってもらえれば、仕事と家庭の両立がしやすくなります。子どもが急に熱を出した時も対応してもらえるなど、精神的な安心感も得られるでしょう。家族全員で協力し合うことで、一人ひとりの身体的な負担も減らせます。
親の健康状態を把握しやすい
高齢になるほど病気やケガのリスクは高まります。親と同居していれば、日常的に様子を見られるため体調の変化に早く気づき、適切な対応が可能です。例えば、認知症の初期症状も早期に発見できる可能性が高まるでしょう。万が一介護が必要になった場合も、慣れ親しんだ環境でサポートできるのは大きなメリットといえます。
経済的負担が軽くなる
親と同居することで家賃や水道光熱費、食費などの生活費を一つにまとめられるため、経済的負担が軽減できます。水道光熱費は基本料金と使用量で構成されているので、世帯が増えても同居していれば基本料金は変わらず効率的です。インターネット料金などの固定費も一本化できるため、別々に暮らす場合と比べて全体の生活費を節約でき、将来の資産形成にも役立つでしょう。
税金の優遇措置を受けられる可能性がある
親との同居には税金面でのメリットもあります。親を扶養に入れることで所得税や住民税の控除を受けられるケースがあり、また完全分離型の二世帯住宅であれば、不動産取得税や固定資産税の軽減措置が適用されることもあります。三世代同居リフォームは国の補助金対象になる可能性があり、リフォームローンの減税措置も受けられるかもしれません。自治体独自の補助金制度もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
親と同居するデメリット
親との同居にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点もあります。長期的に快適に暮らすには問題を事前に把握し、対策を考えておくことが大切です。同居を検討する際の判断材料として、以下のデメリットも参考にしてください。
プライバシーを確保しづらい
完全分離型以外の二世帯住宅の同居では、お互いのプライバシーを確保しづらくなることがあります。リビングやキッチン、浴室などの共有スペースを使う際に、相手に気を遣ったり自分の行動を制限したりすることで、気持ちが休まらなくなることもあるでしょう。特に夫婦の時間を過ごす時や友人を招く時などに、居心地の悪さを感じやすくなります。同居のストレスを軽減するには、間取りの工夫が大切です。
生活リズムや価値観の違いによりストレスを感じやすい
親世代と子世代では食事や就寝時間、休日の過ごし方など生活リズムが異なるのが一般的です。早起きの親と夜型の子世代が同居すると、生活時間がずれることもあるでしょう。お風呂やキッチンの使い方、掃除の方法なども世代によって考え方が違い、無理に合わせるとストレスの原因になります。こうした問題を解決するにはお互いの価値観を尊重し、必要に応じて生活空間を分ける工夫が大切です。
親の介護が想像以上に大変
親の健康を心配して同居を決めても、実際に介護が必要になると想像以上に大変に感じることがあります。介護には多くの時間と労力がかかり、仕事や子育てとの両立が難しくなることもあるでしょう。特に認知症の場合は、24時間の見守りが必要になるケースもあり、介護する家族は心身ともに疲れて介護うつになるリスクも考えられます。介護の負担を軽減するには、介護保険サービスなどの外部支援を活用することも検討しましょう。
金銭面でトラブルに発展する可能性がある
親と同居して生活費を分担する場合、負担割合についての認識の違いからトラブルになることがあります。水道光熱費を折半していても、使用量に偏りがあると「あまり使っていないのに負担が大きい」と感じたり「支払う額の割に使いすぎでは」と不満が生まれたりすることもあるでしょう。食費や外食費など、日常のお金の問題は小さなことでも積み重なるとストレスの原因になります。
親と同居する際に押さえておきたいポイント
親との同居を成功させて快適な暮らしを実現するには、事前の準備と心構えが欠かせません。ここでは、同居を始める前に確認しておきたい重要なポイントを紹介します。
生活上のルールを決めておく
親と同居する前に、トラブルになりやすいポイントについて具体的なルールを決めておきましょう。
- 水道光熱費・食費の負担方法
- 家事の分担
- 共有スペースの使い方
- 来客時のルール など
特に金銭面は後からトラブルになりやすいので、お互いが納得できる方法を事前に話し合っておくことが大切です。明確なルールがあれば、同居後の生活で何かあっても話し合いでスムーズに解決できます。
お互いに干渉しすぎないようにする
長く別々に暮らしていた親子が同居を始めると、食事の好みや整理整頓の仕方、休日の過ごし方など、生活習慣や価値観の違いが目立ちます。こうした違いを無理に合わせるのではなく、お互いの考え方や生活スタイルを尊重し、適度な距離感を保つことが大切です。間取りや生活動線を工夫してプライバシーを確保することも、ストレス軽減につながるでしょう。
同居以外の選択肢も検討する
親の健康や生活が心配でも、必ずしも同居が最適な選択とは限りません。近くに住む「近居」であれば、緊急時にはすぐに駆けつけられてプライバシーも保てるメリットがあります。見守りサービスや高齢者向け住宅など、親の状況に応じたさまざまなサポート方法もあります。同居を決断する前に家族でしっかり話し合い、親の意向も考慮しながらベストな形を検討しましょう。
親との同居は良好な関係性を保てるかどうかも判断材料の一つ
親との同居にはさまざまなメリット・デメリットがあります。大切なのは家族全員が納得した上で決断することです。コラボハウスでは、親との同居を検討されるお客様に寄り添い、理想の住まいづくりをサポートします。設計士が直接お話を伺い、家族全員が快適に暮らせる間取りを提案いたします。お互いのプライバシーを尊重した住まいづくりを考えるために、ぜひ一度無料相談会にお越しください。
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