コラム
薪ストーブのある家のメリット・デメリットとは?
施工事例も紹介
家づくり
2025.03.10

薪ストーブのある暮らしは、私たちの生活に特別な豊かさをもたらしてくれます。近年は環境への配慮や自然派ライフスタイルへの関心が高まりつつあり、薪ストーブを取り入れた住まいが注目を集めています。
そこで本記事では、薪ストーブの魅力や設置のメリット・デメリットを詳しくまとめました。実際の施工事例を交えながら「家族の時間をもっと豊かにする住まいづくり」のヒントもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
薪ストーブとは?
薪ストーブとは、薪(木材)を燃料として燃焼させ、輻射熱や対流熱で室内を暖める暖房器具のことです。薪がパチパチと燃える音や、炎の揺らぐ様子が心地よい癒しを与えてくれます。デザイン性にも優れ、部屋の雰囲気を高めてくれるため、インテリアの一部としても魅力的です。
薪ストーブはガスや石油を使用する暖房器具よりも二酸化炭素の排出量が少なく、環境に優しい暖房器具としても注目されています。
ペレットストーブとの違い
薪ストーブと似た暖房器具のペレットストーブは、燃料に圧縮木材チップ(ペレット)を使用します。ペレットストーブは燃料の入手や保管がしやすく、自動燃料供給や温度調節機能など、扱いやすい機能が備わっている点が魅力です。
また、ペレットストーブは実用性を重視した現代的なデザインが多いため、インテリアに合わせて取り入れたい方にも適しています。
暖炉との違い
暖炉は壁に埋め込む形で設置し、煙を排出する煙突が壁の中を通って外に出るため、暖炉を設置する場所は家の構造に大きく影響されます。
一方、薪ストーブは部屋の一角に据え置き、煙突は室内を通り壁を抜けて外に出るため設置場所の自由度が高いです。暖房効率においても、密閉された燃焼室を持つ薪ストーブの方が、開放型の暖炉に比べて熱を効率的に活用でき、高い暖房効果を得られます
薪ストーブのある暮らしの魅力・メリットとは?
ここでは、薪ストーブのある暮らしにはどのような魅力やメリットがあるのかを詳しく解説します。
心地よい暖房効果が得られる
薪ストーブは、輻射熱を利用して部屋全体を暖め、柔らかく心地よい暖かさを得られます。さらに、その輻射熱は遠赤外線効果を持つため、部屋全体をムラなく暖めることができます。
薪の燃える音や炎の揺らめきにはリラックス効果も期待できます。心地よさを求め、自然と家族が集まる「団らんの場」を作れるのも薪ストーブの魅力です。
環境に優しい
薪ストーブは、再生可能なエネルギー源である薪を使用するため、環境に優しい暖房方法です。適切に管理された森林からの薪を選ぶことで、持続可能な利用が可能になります。
また、薪の燃焼時の二酸化炭素排出量が少ないため、地球温暖化への影響も軽減されます。さらに、燃焼後に残る灰は、庭や畑の肥料として再利用できるため、資源の循環にも貢献します。
調理できる楽しみがある
薪ストーブは暖を取るだけでなく、天板やオーブン機能を利用して料理を楽しむことができます。時間をかけてシチューなどの煮込み料理を作ったり、手作りピザを楽しんだりするのもおすすめです。薪の燃焼による遠赤外線効果で食材を均一に加熱でき、電気やガスで調理するのとは一味違う独特の風味を引き出すことができます。
薪を燃料とするため、光熱費の節約につながるのも嬉しいポイントです。
電気・ガスを使わず災害時の備えになる
薪を燃料とする薪ストーブは、電気やガスを必要としないため非常時の備えとしても有効です。真冬の寒い時期に災害などで停電し、電気やガスが止まった場合も薪ストーブがあれば暖を取ることができます。
暖かさだけでなく、停電時には薪ストーブの炎が周囲を照らしてくれることで明かりの役割となり、飲み物を温めることも可能です。薪ストーブは災害時のライフラインとしても大きな役割を果たしてくれます。
薪ストーブを設置することのデメリット・注意点
薪ストーブを設置する際には、コストや薪の調達方法など、考慮が必要な点がいくつかあります。ここでは、薪ストーブを設置するデメリットや導入前に注意すべき点を見ていきましょう。
設置コストやランニングコストがかかる
薪ストーブは、エアコンやファンヒーターなどの暖房器具よりも設置や燃料にかかるコストが高額です。導入にあたり、本体価格、煙突部材、施工費用などを含めて100万~160万円程度の初期費用がかかります。また、燃料の薪代は使用頻度や地域によって大きく異なるものの、1シーズンで5~10万円程度かかることがあります。導入を検討する際は、ランニングコストについても注意しましょう。
薪の調達と保管が必要
薪ストーブを使うにはするには、薪の調達や保管場所の確保が必要です。薪ストーブを使用するには一日あたり約20kgの薪が必要とされますが、冬の期間中継続的に使用する場合はさらに多くの薪を定期的に調達し、保管しておかなければなりません。さらに薪割りなどの作業も発生するため、薪ストーブを使用するには手間や労力がかかることを考慮しておく必要があります。
なお、薪の調達や保管に関しては定期購入サービスを活用する方法もあります。
着火や温度調節が難しく、メンテナンスに手間がかかる
薪ストーブは自分で着火作業や温度調節を行わなければなりません。薪の組み方や薪の補充などの作業はコツが必要なため、慣れないうちは難しく感じる場合があります。部屋全体が暖まるまでに時間がかかり、即座に暖を取りたいときには他の暖房器具を併用する必要もでてきます。
さらに、使用後の清掃を怠ると煙突火災のリスクが高まるため、メンテナンスの手間もかかります。なお、安全に使用するには専門業者による定期的な点検や清掃が推奨されています。
建築基準法や消防法に基づいて設置しなければならない
薪ストーブを設置に関しては、建築基準法や消防法の規定を守る必要があります。薪ストーブの使用に関しての法律はありませんが、自治体ごとに使用に関する条例が定められている場合があります。そのため、薪ストーブの設置を検討する際は、地域の規制に詳しい建築会社や専門業者に相談することをおすすめします。
また、住宅が密集している地域では、煙や匂いが近隣に影響を与える可能性があるため、排煙対策を考慮することが大切です。さらに、高気密・高断熱住宅では、適切な換気を確保しないと不完全燃焼のリスクが高まるため、設計段階で適切な対策を講じましょう。
薪ストーブの種類
薪ストーブは種類によって「素材」「燃焼方法」「暖房方法」が異なります。希望に合う薪ストーブを選ぶために、それぞれの特徴や注意点を押さえておきましょう。
素材別の種類
薪ストーブの素材は「鋳物製(キャストアイアン)」「鋼板製(スチール製)」の2種類があります。各素材の特徴や注意点を表にまとめました。
素材 | 特徴・メリット | 注意点 |
鋳物製(キャストアイアン) | ・伝統的で重厚感があり、美しいデザインが多い ・蓄熱製に優れ、長時間暖かさを保てる ・耐久性が高く。長期間の使用に適している |
・急激な温度変化に弱いため、着火時は徐々に温度を上げる必要がある |
銅板製(スチール製) | ・現代的でスタイリッシュなデザインが多い ・立ち上がりが早く、素早く部屋を暖められる |
・冷めやすいため、長時間暖を取るには薪の追加が必要 |
燃焼方法別の種類
薪ストーブの燃焼方法は以下の3種類です。
- 非触媒式(クリーンバーン方式)
- 触媒式(キャタリック方式)
- ハイブリッド方式
それぞれの特徴や注意点を表にまとめました。
燃焼方式 | 特徴・メリット | 注意点 |
非触媒式(クリーンバーン方式) | ・高温で未燃焼ガスを燃焼させる方式(触媒を使用しない) ・メンテナンスが簡単 |
・触媒方式に比べると燃焼効率がやや低い場合がある |
触媒式(キャタリック方式) | ・触媒を使用して未燃焼ガスを二次燃焼させる ・燃焼効率が高く、燃料消費を抑えながら長時間暖房が可能 |
・触媒の定期的な交換が必要なため、メンテナンスコストがかかる |
ハイブリッド方式 | ・非触媒式と触媒式の特性を組み合わせた方式 ・状況に応じて燃焼方法を切り替えられる |
・構造が複雑なため、専門的なメンテナンスが必要になる場合がある |
暖房方法別の種類
薪ストーブの暖房方法は「輻射熱方式」「対流熱方式」の2種類があります。暖房方法別の特徴や注意点を以下の表にまとめました。
暖房方法 | 特徴・メリット | 注意点 |
輻射熱方式 | ・薪ストーブ本体から直接熱を放出し、人や物を暖める ・遠赤外線効果で心地よい暖かさが感じられる |
・薪ストーブ本体が高温になるため安全対策が必要 |
対流熱方式 | ・ストーブ内で空気を暖め、対流を発生させる方式 ・部屋全体を均一に暖めるのに適している(広い空間向き) |
・輻射熱方式よりも部屋が暖まるまでに時間がかかる |
薪ストーブの選び方のポイント
ここでは、薪ストーブを選ぶポイントを2つ紹介します。
設置場所に合ったサイズやデザインを選ぶ
薪ストーブを選ぶ際は、設置場所に合ったサイズ、デザインのものを選びましょう。サイズが大きすぎると暖房が効きすぎ、小さすぎると十分な暖かさを得られません。住宅のデザインやインテリアなどの雰囲気に合わせ、モダン、クラシックなど適切なデザインの薪ストーブを選ぶと良いでしょう。
使用目的やライフスタイルに合わせて選ぶ
薪ストーブの使用目的や、ライフスタイルも考慮して選びましょう。
薪ストーブで調理をする場合は、天板で料理ができるタイプやオーブン機能付きなど調理機能付きのものを選ぶと、暖房と調理の両方を楽しめます。寝ている間や外出中も暖かさを保ちたい場合は、長時間燃料が可能なモデルを選ぶのがおすすめです。
実例で見る「薪ストーブのある家」
ここでは、コラボハウスが手掛けた薪ストーブのある住まいの建築事例を紹介します。
土間リビングに設置された薪ストーブのある家
経年とともに変化を楽しめる焼杉の外壁が特徴的な平屋です。薪ストーブはウッドデッキにつながるよう、土間リビングに配置されているのがポイント。薪ストーブの炎と、大きな窓越しに広がる庭の風景が心を癒してくれます。
土間リビングに設置された薪ストーブのある住まいの施工事例を見る
薪ストーブのあるロの字の家
施主様のこだわりは、平屋・開放感・薪ストーブの3つです。そのため、勾配天井で高さを出し、化粧梁を施したLDKに仕上げました。薪ストーブはリビング脇の土間に配置。家全体を暖めてくれるデザインです。
家族が集まる薪ストーブリビングのある家
ダイニングより1段下がったリビングは、タイル張りになっています。リビングに設置された薪ストーブは暖房としての役割だけでなく、家族や友人が自然と集まり会話が生まれる中心的な存在です。テレビを消して、火のゆらめきを眺めるだけでも癒されます。
機能性とデザイン性を追求!コラボハウスで薪ストーブのある住まいを手に入れよう
薪ストーブのある家は、心地よい暖かさが得られ、リラックス空間を作りだしてくれます。薪ストーブで暖まりながらのんびりと過ごしたり、友人や家族とワイワイ過ごしたりと、充実した時間を提供してくれることでしょう。
コラボハウスでは、薪ストーブのある住まいの建築を行っています。住居に薪ストーブを設置したいと考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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